救急ヘリMESHがコロナでピンチ 寄付金半減、今こそ必要なのに…


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メッシュ・サポートの運行する救急ヘリ(左)と医療用飛行機(特定非営利活動法人メッシュ・サポート提供)

 沖縄本島北部地域を中心に、救急ヘリや医療用飛行機を運航する特定非営利活動法人メッシュ・サポート(塚本裕樹理事長)が、新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい運営を迫られている。昨年10月、資金難を理由に休止していた救急ヘリの運航を2年ぶりに再開し、新型コロナ感染拡大防止に伴う離島への医師派遣や検体搬送にも携わる。しかし県内経済の悪化や、募金活動の制限などで寄付金が半減した。

 新型コロナの感染が拡大した昨年、伊平屋村内でクラスター(感染者集団)が発生した際には島への医師派遣や、検体搬送に協力した。塚本理事長は「早急に医師を派遣し、関係機関と連携したことで感染の防止につながった」と意義を語る。昨年4月には県立北部病院の脳神経外科が休診したため「一刻を争う脳神経系の急患搬送も目立っている」と強調。北部地域で救急ヘリの必要性が高まっている現状を説明する。

2020年の活動内容や運営状況について語る特定非営利活動法人メッシュ・サポートの塚本裕樹理事長=19日、那覇市高良の同法人事務局

 だが、新型コロナの感染拡大で活動資金が大幅に減っているという。2019年度は年間で約5800万円の寄付金が寄せられたが、20年度は約2600万円に落ち込んだ。

 現在、救急ヘリの運航に必要な予算は補助金でまかなわれているが、那覇空港からヘリが常駐している伊江島まで医師を運ぶために必要な飛行機の運航には、寄付などで集まった資金が充てられる。塚本理事長によると、飛行機の運航に必要な予算は年間で約4500万円が必要となる。本年度はその資金を確保できず、前年度からの繰越金でやりくりしている状態だという。塚本理事長は「街頭での募金活動やイベントも(新型コロナで)制限されており、企業からの寄付金も減っている」と説明する。「離島医療を支援するノウハウの蓄積や維持のためにも応援していただきたい」と述べ、支援を呼び掛けた。寄付などに関する問い合わせは、メッシュ・サポート事務局(電話)098(858)2539。
 (下地陽南乃)