辺野古設計変更、国が地震の精査前データ使用 記録1件は確認取れず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
埋め立てや護岸工事が進められる新基地建設現場=2020年9月3日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が県に提出した設計変更申請で、新基地の耐震性を設計する際に品質のチェックを経ていない地震データを使用していたことが27日、判明した。新基地建設推進のため、データを恣意(しい)的に利用する防衛局の姿勢が明るみに出た形だ。

 新基地の耐震性を検討するため防衛局は、防災科学技術研究所が運用するK―NET(全国強震観測網)が公開するデータの一つで、自動的に公開される「即時公開データ」を使用した。品質チェックを受けたデータと違い、地震以外のノイズや強震計の故障による波形などもデータに含まれる場合がある。

 防衛局が公表している資料によると、新基地の耐震性の検討材料となる地震動を算定するため、防衛局は近辺の観測データと比較することを目的に2008年10月1日~09年2月27日の約5か月間、辺野古で地震を調査した。この間5回の地震を測定したとしている。このうち2回で、名護市役所近辺のK―NET名護でも地震が観測されたとしている。

 だが27日現在、K―NETのホームページで地震を検索すると、1件の記録しか確認できず、防衛局が示す資料との整合性は取れなかった。

 この件について防衛省は琉球新報の取材に対し、当時ホームページに掲載されていた即時公開データを使ったと説明し「公開されたデータを使うことは問題ない」との認識を示した。