辺野古埋め立て土砂を南部で採取は「政府の暴挙」 遺骨収集ボランティアなどが批判 知事視察も求める


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本島南部の土砂採取の中止を求める沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さん(左から4人目)と宗教者ら=15日、県庁記者クラブ

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんと「平和を求める沖縄宗教者の会」は15日、県庁記者クラブで会見した。名護市辺野古の新基地建設に使う埋め立て土砂を、本島南部から採取する計画について「政府の暴挙だ」と批判し中止を求めた。玉城デニー知事の現場視察の必要性も指摘した。

 沖縄防衛局が県に提出した工事の設計変更申請によると、糸満市と八重瀬町からは県内土砂調達可能量の7割に当たる約3200万立方メートルを調達する。南部地域は沖縄戦跡国定公園に指定され、自然公園法で開発が規制されている。糸満市米須では、土砂採掘業者が同法に基づく開発の届け出を出さないまま開発に着手。県から指導を受け、今年1月に届け出を提出した。

 宗教者らは会見の前に県の担当課職員と面談した。南部地域で遺骨収集に着手し現在の土砂採取を中止することと、土砂採取による乱開発や環境破壊の中止を求めた。糸満市米須の開発について、自然公園法で風景保護のため知事が開発行為を禁止できる条項の適用を求めた。宜野湾告白伝道所牧師で、普天間爆音訴訟原告団長の島田善次さんは「土砂を軍事基地に使うなんて耐えられない」と批判した。

 具志堅さんは14日、宗教者らと糸満市伊敷の自然壕を訪れた。壕の前で子どもの指の骨や歯を示し「遺骨収集に終わりはない」と説明した。具志堅さんは南部地域の土砂採取に反対の意思を示すため、近くハンガーストライキを行うという。15日の会見で「戦没者の血を吸い込んだ土砂を埋め立てに使うのは人道上、間違っている。遺骨を助けてほしいと呼び掛けるつもりだ」と話した。

 同席した沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは「南部地域はあちこちの鉱山で20、30メートルの穴が埋め戻しされずにひどい状態で放置されている。米須でも風景が根本から破壊されることは明らかだ」と指摘した。

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