投資呼び込む視点に 世界経済フォーラム若者組織代表 下地邦拓氏<次期振計骨子案 私はこう見る>(4)


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 新たな振興計画(振計)の骨子案には、(県が2030年の沖縄の将来像を描いた)「沖縄21世紀ビジョン」について、SDGs(持続可能な開発目標)と同様に、バックキャスティング(未来を想定し、そこを起点に今何をするべきかを考える方法)の発想に基づいていると書いている。県は21世紀ビジョンで描かれた将来像を起点として、骨子案を書いた。

 だが、骨子案はバックキャスティングに対をなす、フォアキャスティング(現在を起点に未来を予測する考え方)の発想になっているのではないかと感じた。

 未来を描かないといけないのに、21世紀ビジョンに縛られすぎているように見える。21世紀ビジョンは10年度に策定されたが、世の中の変化は著しい。30年度の沖縄を描く次期振計をつくるためには、人口動態やテクノロジーなどのその先の未来の変化を見据えないといけない。

下地邦拓氏

 例えば2045年にはシンギュラリティ(技術的特異点)と言って、人間よりも人工知能(AI)が賢くなって、世界中で仕事がなくなると言われている。それに対応するため、沖縄ではスキルを身に付けるため子どもたちの教育は具体的にこうする、貧困の人たちを助けるために支援や施設が必要などといった記述にするべきだ。

 来年は日本復帰から50年となる。骨子案を見ると、国は地上戦を経験した沖縄に対し負債を負っていると強調している。それはもちろん正しいが、負債はいつか完済するものだ。50年間は完済に適当な期間だとみられてしまう。だからこれからは負債の完済をお願いするマインドから、投資を呼び込むマインドに転換する必要があるのではないか。

 大胆な特区制度を設けるなど、沖縄はもっと夢を描ける。県は発想の転換をして、(行政改革も担当する)河野太郎沖縄担当相を納得させてほしい。 (おわり)

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下地邦拓 1990年、沖縄市生まれ。世界経済フォーラムが組織する若手コミュニティーの東京支部代表を務め、沖縄支部創設に携わる。米国シンクタンクや外資系コンサルティング会社での勤務経験がある。

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 県は2022年度からの次期沖縄振興計画の骨子案に対するパブリックコメントを募集している。2月28日まで。申請方法は電子申請や電子メール、ファクス、郵送で受け付ける。問い合わせは県企画調整課(電話)098(866)2026