辺野古参入「可能性出る」 糸満米須・土砂業者 北部協議会に加入


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
新基地建設工事への使用が取り沙汰されている土砂の採掘現場=25日、糸満市米須(小型無人機で撮影)

 【糸満・名護】沖縄戦の戦没者とみられる遺骨が見つかった糸満市米須の土砂採掘予定地を巡り、採掘業者(同市西崎)が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を容認する「北部地域振興協議会」に加入していたことが、26日までに分かった。業者代表の男性が本紙の取材に対し明らかにした。同協議会は辺野古新基地建設に伴う埋め立て事業の早期実施を求めてきた。

 業者代表の男性は「実績を残せば(辺野古埋め立て事業参入への)可能性は出てくる」と述べ、辺野古新基地建設の埋め立て事業への参入を視野に入れていることを明らかにした。

 辺野古の新基地建設に関連し、糸満市米須で採掘された土砂も埋め立てに使われるとの指摘がある。戦没者の遺骨が含まれる土砂の使用に、市民団体などが「死者に対する冒瀆(ぼうとく)だ」などと強く批判している。

 糸満市米須の土砂採掘について、男性は「辺野古を目的とした土砂採掘ではない」と強調。現時点での新基地建設との関わりを否定した。一方、辺野古埋め立て事業への将来的な参入の可能性は否定しなかった。「実績あるところが(土砂を)出せるのであって、われわれはそれ以前の話だ」と述べ、現段階で参入に見合う実績がないと説明した。

 業者の北部地域振興協議会加入は、元名護市長で同協議会会長の島袋吉和氏も認めている。島袋氏は「(業者は)以前は北部に(事務所の)住所があった」と説明した。業者の登記簿謄本には、北部に事務所を設置していた記録はない。業者代表の男性によると、2014年ごろに名護市内で海砂事業の展開を目的に組織を設立したという。北部地域振興協議会へは「(糸満市西崎の)業者として加入した」とした。

 協議会に加入した経緯や目的について、業者代表の男性は「答えられない。(協議会に関する)活動はしていない」と話した。