再挑戦で夢への第一歩 那覇商定時制から沖水専攻科進学 初の快挙


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卒業証書を受け取る那覇商業定時制の長嶺槙純さん(右)=那覇市松山の同校

 那覇商業定時制を卒業する長嶺槙純さん(18)は、高校の卒業生が専門的に学ぶ沖縄水産高校専攻科無線通信科への進学を決めた。沖水は自宅が近く、憧れの学校。3年前の高校受験では不合格だったが、あきらめずに定時制で学び、専攻科に合格した。那覇商定時制から沖水専攻科への進学は初の快挙。1日の卒業式では卒業生代表のあいさつに立ち、「夢への第一歩を歩み出すことができる」と誇らしげに語った。

 沖水から徒歩1分の距離に自宅があり、毎年の学園祭を楽しみにしていた。自然と親しみが湧き、同校の生徒になることが夢になっていた。

 しかし、中学校は不登校気味になった。高校受験の面接では、体調が悪かったことや、学校に行きたくないと思うことがあったと正直に伝えた。結果は不合格。失意の中で那覇商定時制へと進学した。

 定時制への進学は不安だったが「生徒と先生の距離が近く、安心して通うことができた」。那覇商の教員や同級生、沖水へ入学した友人らの励ましもあり、夢へ向かって勉強を続けた。

 専攻科の試験倍率は1・6倍だった。昨年12月の合格発表は「3年前が頭をよぎった」というが、見事に合格を果たした。沖水から那覇商に電話で合格の連絡をしている最中、沖水に通う友人が駆け付け、抱き合って喜びを分かち合った。

 「本科(沖水からの進学者)には、すでに専門的な資格を取った人もいる。自分はようやくスタートライン。これから頑張らないと」と気を引き締める。遠回りしたが、充実した3年間を振り返り「那覇商業で学べたことを誇りに思う」と、自信に満ちた表情で語った。
 (稲福政俊)