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コロナ起源巡り新たな手掛かり、ヒトへの感染でカギに【WSJ厳選記事】


ヘルス

By Betsy McKay
2021 年 3 月 2 日 03:51 JST 更新プレビュー


 世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの起源に関する全容解明を目指す中、ウイルスが自然な進化を通じてヒトへの感染力を獲得したことを示唆する新たな手掛かりが浮上してきた。

 直近の少なくとも4つの研究から、東南アジアや日本に生息するコウモリやセンザンコウが持つウイルス株と、今回の新型コロナに密接な関係があることが判明した。これは病原体が従来の想定よりも広範囲に広がっており、ウイルスが進化する機会が豊富にあったことを示している。

 別の研究では、ウイルスの重要な構成要素である単一アミノ酸が変化することにより、ヒトへの感染を可能にする、もしくは少なくとも手助けするとみられることが分かった。アミノ酸はタンパク質を形成する有機化合物だ。

 これら最新の研究結果は、コウモリを起源とするウイルスが、おそらく仲介役となった動物を通じて自然に進化することで、ヒトへの感染力を獲得したとの見方を一段と裏付けるものだ。パンデミック(世界的な大流行)の再来を回避するには、ウイルスの起源を特定することが重要だと考えられているが、全容解明には何年もかかるかもしれない。

 2月に中国・武漢で4週間にわたり現地調査を実施したWHOのチームは、中国に加え、特に同国と国境を接する東南アジア諸国でもウイルスの起源特定に向けた調査を求めている。今回の新たな研究結果により、WHOがなぜ調査範囲の拡大を唱えているのかについても、これで説明がつく。

 バージニア工科大学のウイルス学者、ジェームズ・ウィジャールカレリ氏は、アミノ酸の変化がウイルスの自然な進化を示唆していると話す。同氏が主導したアミノ酸の変化に関する研究結果は、査読前の論文を掲載するサイトで共有された。

 それによると、同氏のチームはヒトへの感染を後押ししたとみられるウイルスの変化について、18万3000近い遺伝子配列を分析した。その結果、スパイクタンパク質の単一アミノ酸を変化させるウイルスの変異を特定。それが人間の細胞を感染させ、複製できることを示した。

 米当局者や科学者の一部は、研究室で起きた事故でウイルスが流出した可能性を完全に排除することはできないとの考えを示している。武漢ウイルス研究所は厳重に警備された施設の中で、コウモリが持つコロナウイルスについて研究を実施している。だが、パンデミック(世界的な大流行)以前に今回の新型コロナに関する研究を行っていた、もしくは保管していたとの見方を否定。最も厳格な安全基準を維持しているなどと主張している。
 だが、一部の科学者や米当局者は、研究所のこれまでの安全記録に加え、自然に変化したウイルスと「機能獲得」実験の双方の研究について、加工前の生データを共有するよう求めている。機能獲得とは、ウイルスがヒトへの感染や拡散する能力を強化できるか分析するために、科学者がウイルスの遺伝子を操作した実験のことを指す。

 専門家で構成されるWHOの調査団はこれまで、研究室内の事故が原因となった可能性は極めて低いとの考えを示している。だが、調査団のトップ、ピーター・ベンエンバレク氏は先週、研究室の仮説についても「まだ選択肢として消えたわけではない」としており、チームとしてすべての可能性を評価するだけの情報が得られていない点を認めている。

 WHOは近く、武漢入りした調査団が策定した報告結果の要旨を公表する見通し。ただ、報告書の全文が公表されるのは数週間先となるとみられている。




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