【深掘り】南部土砂採取、意見書可決を巡って攻防激化 与党「会期内に」野党「丁寧な議論を」


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沖縄県議会

 戦没者の遺骨を含む可能性がある本島南部の土砂を埋め立てに使用しないよう政府に求める意見書を巡り与野党の攻防が激しさを増している。党派を超え、南部の土砂を辺野古の埋め立てに使うべきではないとの考えは一致しているものの、2月定例会会期内の可決を目指す与党と、会期内にこだわらない野党との隔たりは大きく、全会一致で意見書が可決されるかは不透明な情勢だ。ただ、与党は30日の会期末ぎりぎりまで野党側と調整を続ける方針だ。

 与野党の駆け引きの背景には、糸満市の業者が自然公園法に基づいて県に提出した鉱山採掘に関する開発届がある。県は今月18日に届け出を受理したが、採掘禁止などの措置命令を出せるか30日以内に判断しなければならず、その期限は4月16日となっている。

 与党は、県は措置命令を出すべきだとの立場を取っており、23日の土木環境委員会では「知事が決断するために議会として会期内に意思を示す必要がある」などの意見が相次いだ。対する野党は意見書可決は今後の鉱山開発や事業者に大きな影響を及ぼすとして、「丁寧な議論が必要だ」として譲らず、意見書の中身について議論されることはなかった。

 意見書の全会一致に向けては与野党双方の歩み寄りが必要となる。与党幹部の一人は「人道的に遺骨が含まれる可能性のある土砂を埋め立てに使うことを認める人はいない。それは野党も同じ。会期末までまだ時間はある」と述べ、全会一致での意見書可決に自信をのぞかせた。

  (吉田健一)