無届けの土砂採掘、糸満市束里でも…自然公園法違反か、県が指導


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石灰岩が採掘されている糸満市束里の採掘場。写真右側が荒崎海岸(2020年11月27日撮影「沖縄ドローンプロジェクト」提供)

 糸満市の荒崎海岸近くにある同市束里の土砂採掘場で、自然公園法に基づく県への届け出がなされないまま採掘が行われ、同法違反の懸念があるとして、県が業者に採掘を中止するよう指導していたことが8日までに分かった。業者の幹部の男性は本紙の取材に「採掘は止めている。県との協議が整うまでは再開しない」と話した。

 県に届け出が出されていなかったのは、同市束里の土砂採掘場の一部で、沖縄戦跡国定公園の普通地域に指定されているという。同国定公園内で開発を行う場合には、県の許可(普通地域は届け出)が必要となる。県自然保護課によると今年1月上旬、業者への聞き取りで届け出がなされていないことが判明し、採掘中止を口頭で指導した。この業者は同国定公園の特別地域にかかる、荒崎海岸の西側も採掘している。この地域についても、業者から県に許可が申請されたか確認中としている。

荒崎海岸につながる里道から採掘場を望むと土砂が積み上がっている=3月4日、糸満市束里

 業者の幹部の男性は、防衛省が19年に実施した、名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て用土砂の調達可能性を探った調査に、提供可能と回答したことを明らかにした。「調達先は国が決めることで、私たちには決められない。資源は有限なので、何年も先になれば土砂もなくなっているかもしれない」と話した。男性は採掘前に地表を歩いて探し、見つけた遺骨を供養したと話し「1本でも遺骨が出てくれば、きちんと警察に届け出て供養する。誰も遺骨を埋め立てに使ったりしない」と強調した。

 糸満市の土砂採掘を巡っては、同市米須の土砂採掘場でも別の業者が開発を届け出ておらず、県の指導を受けた。県は現在、沖縄戦跡国定公園内の糸満市と八重瀬町に採掘場を持つ13業者に聞き取りを行い、開発の許可申請や届け出を行ったかを確認している。