コロナ対策で独自支援 長期化で事業者なお厳しく<うるま市長選・争点をみる>上


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給付を受ける事業者ら=2020年5月、うるま市生涯学習・文化振興センターゆらてく

 うるま市の新型コロナウイルス感染者は、昨年4月11日に初めて確認されて以降、4月1日までに累計470人となっている。県全体の感染者は同日時点で計9575人で、県全体に占めるうるま市の感染者の割合は5%だ。

 昨年8月には、市内の通所介護(デイサービス)施設でクラスター(感染者集団)が発生した。今年1月から2月にかけては、市内の医療機関で60人以上の大規模クラスターが発生する事態も起きた。

 流行が広がると、他の地域と同様、市内の飲食店や宿泊施設、観光地は大きな打撃を受けた。休業や時短営業を余儀なくされ、収益は大幅に減った。事業者らからは「このままでは立ち行かない」「お手上げ状態だ」といった悲鳴が上がっている。

 こうした中、市は独自の新型コロナ対策を打ち出してきた。昨年5月には、売り上げが減少した飲食・宿泊業の事業者を対象に1事業所当たり一律20万円の現金を給付した。市内飲食店の料理をタクシーで宅配する「出前タクシー」も運用し飲食店やタクシー事業所を支援した。

 しかしその後も事業者らの厳しい状況は続く。うるま市社会福祉協議会によると、「緊急小口資金」や「総合支援資金」の貸し付け件数は、感染流行の第1波時よりは減っているものの、現在でも毎月100件前後あり、影響が長期化していることが分かる。

 個人事業主の一人は「この状況がいつまで続くか見通せない。支援が全く足りず困っている。市には返済不要のさらなる給付金を求めたい」と話す。

 新型コロナ対策について中村正人氏は「社会的弱者に対する支援措置を講じ、誰一人取り残さない。県や国と連携し、財源の確保に努める」としている。

 照屋寛之氏は「コロナ禍で解雇や雇い止めにされた生活困窮世帯には10万円、資金繰りに窮する事業者などへは最大20万円を給付する」と述べている。

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 18日告示、25日投開票のうるま市長選では、新人で前市議の中村正人氏(56)=自民、公明、会派おきなわ推薦=と、新人で沖縄国際大名誉教授の照屋寛之氏(68)=共産、立民、社民、社大、新しい風・にぬふぁぶし推薦=が立候補を表明しており、一騎打ちとなる見通しだ。同選挙の主要な争点について市の現状や両者の主張を取材した。
 (砂川博範)