自信喪失やけが乗り越え、名門山梨学院大へ 目指すは箱根駅伝 砂川大河<決意の春>


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大学で勝負できる体をつくるためトレーニングを重ねる砂川大河=3月、石垣市中央運動公園陸上競技場

 2020年7月19日、鹿児島県・白波スタジアム。コロナ禍で中止となった県高校総体の代替大会で、鹿児島実業高3年の砂川大河(石垣二中出)は14分26秒10のタイムで5千メートルを駆け抜けた。15分前後が上位選手かどうかの境目とされる中、前年秋に記録した自己ベストを一気に40秒近く更新し2位に入った。「石垣から出てきたのは何のためか」。結果を求める使命感が飛躍に導いた。

 「人間的にも成長できた」という高校生活だが、後悔も残っている。3年間の集大成となる昨年12月の全国高校駅伝大会をけがで走れなかったことだ。記録を伸ばし、中心メンバーとして出場するはずだった。「タイムだけ速くても、試合で発揮できなければ強くはない。全国で闘うためには強くならないといけない」と言い聞かせるように語る。

 元々はサッカー部で本格的に陸上・長距離を始めたのは中学3年から。2年の時に校内選抜メンバーで出場した県駅伝大会で優勝し、沖縄ナンバーワンの自信を胸に臨んだ全国で下位に沈んだ経験がきっかけだった。「井の中の蛙(かわず)だった」

 悔しさから陸上に転向し、「大海を知ろう」と強豪の鹿実高に進んだ。

 2年間は大きく変化した環境や相次ぐ疲労骨折に苦しみ、高校最後の年にはコロナ禍が襲った。部活は休みとなり、走りを披露する場もなくなったが、自粛期間を活用し、30キロ走など普段はできない練習に取り組んだ。「この時、粘りの足がつくれた。タイムが伸びた要因の一つだと思う」と分析する。

 4月からは名門・山梨学院大学に進学する。目標に据えるのは、東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)への出場だ。「箱根で走ることで、後輩たちに沖縄から出た人間でも戦えるというのを見せたい」。沖縄で指導者になることを夢見る18歳が、力を込めた。
 (大嶺雅俊)