「沖縄戦の戦争遺品」出版 写真家の豊里さん 国吉勇さんが収集した63点を撮影


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写真家・豊里友行さんの写真集「沖縄戦の戦争遺品」

 写真家で俳人の豊里友行さん(44)が10日、写真集「沖縄戦の戦争遺品」(新日本出版社)を出版した。沖縄戦犠牲者の遺骨を収集する活動をボランティアで続けてきた国吉勇さんが遺骨収集の中で見つけた遺品を撮影して収録した。後半では、国吉さんの活動について活動中の写真を交えて文章で紹介している。

 2016年3月に遺骨収集活動を引退した国吉さんは、60年余の遺骨収集活動の中で万年筆や水筒、定規、靴など10万点以上の遺品も見つけ、「戦争資料館」として自宅の一角に大量に保管している。しかし、膨大な遺品の全体を将来的にどのように保管し、活用していくのかは明確には決まっていない。

豊里友行さん

 豊里さんは07年12月から国吉さんの遺骨収集に同行し、撮影してきた。今回の写真集には国吉さんが見つけた遺品の中から懐中時計やめがね、万年筆、手りゅう弾など63点を収録した。

 国吉さんは、自宅の「戦争資料館」で保管している遺品を沖縄の公的な機関で平和発信のために活用することを希望しているという。豊里さんは「沖縄戦の戦争遺品は、日本が行った戦争を今に伝える貴重な存在である。沖縄の人々はもちろん、多くの日本人、そして世界の人々が戦争について考えるために、なるべくアクセスしやすい形で保護・継承していくべきだろう」と述べ、国吉さんが収集した遺品の有効活用を訴えた。