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日本を悩ますバイデン氏の対中強硬姿勢【WSJ厳選記事】


国内政治

By Peter Landers
2021 年 4 月 15 日 09:36 JST 更新プレビュー


 【東京】ジョー・バイデン米大統領は先月、就任後初の記者会見で中国について問われた際、厳しい競争を予想しているとし、米国は中国政府による人権侵害をたゆまず世界に伝えていくと述べた。

 その1週間前、日本の菅義偉首相は記者会見で同じような質問を受けた。菅氏は、日本政府と中国政府の間にはさまざまな問題があると述べるにとどめた。

 米同盟国が中国に真っ向から立ち向かうことに二の足を踏む様子は、世界的影響力の強化へ向けた同盟国との協力を強調しているバイデン氏の外交政策に課題をもたらす。

 菅氏は今月16日、外国首脳として初めて、対面でバイデン氏と会談する。日本はこの栄誉を誇らしげに受け止めている。だが、日本の政財界のリーダーたちは、表立って中国との対立に巻き込まれることに不安を感じており、中国の軍事力を抑制しつつ、見返りの大きい貿易はそのままに維持する方法に期待をつないでいる。

 早稲田大学の青山瑠妙教授は、安全保障上の不信感を経済関係に影響させまいと日本は務めている、と指摘する。

 日米首脳会談が象徴しているのは、バイデン氏が対処を目指す外国の脅威トップに中国が躍り出たということだ。バイデン政権は既に、アフガニスタンからの米軍撤退を表明している。

 バイデン政権は発足から3カ月足らずのうちに、イスラム教徒が大半を占める少数民族ウイグル族に対する中国の締め付けをジェノサイド(大量虐殺)と認定。欧州の同盟国と共に中国当局者に制裁を発動した。バイデン氏はさらに、初のグループサミットとして、日、米、オーストラリア、インド4カ国からなる「クアッド」の首脳によるビデオ形式の会議を開催し、中国がもたらす難題について話し合った。

 太平洋の問題地域における中国政府の行動を巡り、日米は懸念を共有している。そうした懸念の例として、日本の管理下にあるが中国が領有権を主張している島々の近辺で、中国軍が頻繁に活動していることや、つい先日には台湾の防空識別圏に中国軍機が侵入したことがある。

 米国の国務長官と国防長官は3月、日本の外相および防衛相と東京で会談し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した」との共同声明を発表した。外交筋によると、バイデン氏と菅氏は同様の表現を検討している。もしそうなれば、日米首脳の声明で台湾が触れられるのは、両国と中国との国交正常化前の1969年以来となる。

 戦略物資のサプライチェーン(供給網)を巡る中国支配の回避など、経済問題の議題では、日米の対話は一段と困難な領域に入る。

 2017年から19年まで駐日米大使を務めたビル・ハガティ上院議員(共和、テネシー州)は、テクノロジー競争で中国の進出を抑える日本の取り組みは不十分との懸念を示し、日本が半導体製造装置を輸出していることに言及した。

 ハガティ氏はインタビューで、共産党支配下の企業に「機密技術を提供することに日本企業は細心の注意を払う必要がある」とし、「日本の企業と指導者はわれわれと密に協力し、共にこの戦略的課題に取り組んでいくよう万全を期すべきだ」と述べた。

 中国は日本にとって最大の輸出市場であり、日本政府はウイグル族関連の制裁に加わっていない。ただ、日本の外交筋は、昨年10月に国連で39カ国が中国による少数民族の扱いを批判した共同声明について、日本はこれに賛同したアジアで唯一の国だと指摘している。

 一方で中国は、日本政府が米国の路線に追従し過ぎれば、日本企業に報復すると示唆している。新華社通信は4月6日、「手を伸ばしすぎるな!」とツイート。日の丸の旗がついた腕が中国の問題へ向けて伸び、触れようとした手がブロックされる絵を投稿した。

 3月に来日したアントニー・ブリンケン国務長官は、共同記者会見の冒頭で中国を非難したが、政府関係者によると日本側はこれに当惑した。

 菅首相がためらう理由の一つに、日本企業からの圧力がある。カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は日本でも有数の富豪だが、同社売上高の5分の1余りが台湾を含む中国部門から上がっており、中国は成長計画に不可欠と述べている。

 柳井氏は昨年のインタビューで、米中は忠誠心を試すために踏み絵を踏ませようとするかもしれないが、一切の絵を「踏まないと宣言すべき」と語っていた。




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