客が激減…インバウンド専門旅行社が始めたコロナ禍を乗り越える新事業


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 インバウンド(訪日外国人客)専門の旅行社、ジーノツアー(豊見城市、李政勲代表)が、コロナ禍を乗り切る新規事業として10日、韓国食材・食品の専門店「マムズフードオキナワ」を豊見城市与根にオープンした。旅行需要の回復が見通せない中、新たな収入源や従業員の仕事を確保することで、経営を維持する。李代表は「観光客が戻ってくるまでは、これでどうにか乗り切りたい」と前を向く。

マムズフードオキナワを開業した李政勲代表(右)と営業部の安達けいこさん=15日、豊見城市与根

 ジーノツアーは韓国や台湾などのインバウンド客をターゲットに、貸し切りバスで県内を巡るツアーなどを提供してきた。沖縄観光の人気上昇とともにバスツアーは連日満席だったが、2019年の日韓関係悪化で利用客が減少したところに、新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した。

 在籍するバス運転手9人は雇用調整助成金で給与を確保し、交代で休業を続けている。マムズフード営業部の安達けいこさんは「仕事がない状況によるモチベーションの低下も、観光従事者にとってのコロナ禍のつらさだ」と話す。

 こうした中で開業したマムズフードオキナワは、商品の配送業務で運転手らの業務を生み出し、仕事へのモチベーション維持につなげる狙いもある。

 店内には韓国から仕入れた約10種類のキムチを中心に、韓国定番の菓子類や酒、調味料など200アイテムほどを取りそろえている。ネットでも商品を販売し、3千円以上購入すると、一部地域を除いて貸し切りバス運転手らが商品を無料配達するサービスも提供している。

 バス駐車場の一角に建てたプレハブの店舗の設置も、ジーノツアーの運転手らが手掛けたという。海外旅行に行けない今、少しでも韓国の雰囲気を感じてもらおうと店内で韓国の音楽を流す。開業日から2日間で250人以上が来店した。

 李代表は「思った以上の反響で手応えは感じている。配達業務が増えたらドライバーも活躍できる」と笑顔を見せた。