差別解消へ「国際連帯を」 ハーバード大教授の論文考えるセミナー


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ラムザイヤー氏の論文を通して、沖縄差別の問題点を指摘する親川志奈子氏=17日、ウェブセミナーの一画面から

 米ハーバード大学ロースクールのJ・マーク・ラムザイヤー教授による「慰安婦」や沖縄、部落差別、在日コリアン差別などをテーマにした論文について考えるウェブセミナーが17日、開催された。「日本のレイシズム・コロニアリズム・セクシズムを解体するダーバン+20キャンペーン実行委員会」が主催し、世界各地から270人以上が聴講した。2時間のセミナーでは各分野の研究者が登壇し、日本における差別構造の背景や課題を考察した上で、反人種主義で国際連帯することの重要性を説いた。

 沖縄問題については、沖縄大学非常勤講師の親川志奈子氏が解説した。在ハワイの県系人らと読み解いたという親川氏は、米軍基地を巡る県民意識や沖縄の社会構造など「論文には根拠のないこと、デマだったり差別的表現がちりばめられたりしていた」と指摘。基地問題をはじめ世界に沖縄の情報が活発に発信される中、現状を知らない英語圏の人々に誤った知識がすり込まれる事態を危惧した。

 また親川氏は1903年、沖縄の人々がアイヌや台湾の人々との扱いについて抗議した人類館事件に触れ、「自分たちだけ良ければいいという100年前の過ちを繰り返してはいけない」と強調。今回、さまざまな差別に直面する少数派と一緒に人種主義を考察する機会を設けられたことは意義深いと述べた。その上で、ヘイトを放置せず、世界各地の少数派と連携し、共闘することが構造的差別の解消の一助になると訴えた。