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東芝の株主が報われる日、やっと来るのか【WSJ厳選記事】


HEARD ON THE STREET

株価は買収合戦の観測で急騰 波乱万丈な10年の後

By Jacky Wong
2021 年 4 月 19 日 11:29 JST 更新プレビュー


――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 東芝は近年、企業ドラマに事欠かない。146年の歴史を持つ東芝を巡り現在繰り広げられている物語は、日本のコーポレート・ガバナンス向上の兆しを示しているのかもしれない。

 東芝の株価は今月23%上昇し、米国の原子力子会社ウエスチングハウスが破綻して巨額損失を出した2017年以降で最も高い水準となっている。急騰の理由は、買収合戦の観測だ。メディアの報道によると、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが先週、買収を提案しており、他にも買収提案を検討している企業があるという。
 


 だが、株主からの圧力を受け14日に東芝の最高経営責任者(CEO)を辞任した車谷暢昭氏にとっては、良いニュースではない。車谷氏は以前、CVCの日本法人トップを務めていたことがあり、利益相反ではないかとの疑惑が生じた。

 東芝の外国人株主比率は高く、昨年9月時点で合計60%を占めていた。2017年の同社原発子会社の破綻による危機の際、多数のヘッジファンドが53億ドル(約5760億円)を注入して同社を救済し、一部はそのまま株主として残った。

 東芝の株主は先月、シンガポールを拠点とする「物言う株主」エフィッシモ・キャピタル・マネジメント(東芝の筆頭株主)が提案した、昨年の株主総会における議決権の公正性に関する独立調査の要求を支持した。3名の取締役を送り込もうとしたエフィッシモの試みは失敗に終わったが、車谷氏再任への賛成票はわずか57%にとどまった。

 今回の株主による反乱は、日本のコーポレート・ガバナンス向上への動きが、投資家に声を上げさせたものと見ることができる。また買収合戦となれば、特に2015年の会計スキャンダルなどのように波乱に満ちたガバナンスの歴史を持つ東芝のような企業において、強固な守りを敷く経営陣に株主が勝つことができるのかが試されることになるだろう。

 国家安全保障上の正当な懸念はある。東芝の事業には、原子力発電設備や防衛システムが含まれている。また、東芝は半導体大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の株式の40%を所有しており、政府はこれを外国人に渡したくないだろう。望ましい形での買収には、日本のパートナーを入れるか、機密性の高い事業を切り離す必要があるだろう。

 過去10年間、東芝の株主は大変な思いをしてきた。株主の要求が通るようになれば、ようやく報われるかもしれない。




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