【識者談話】国内で米軍属が増加、請負業者の特権とは? ジャーナリスト・布施祐仁


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 日米地位協定の米軍属に関する補足協定は、5年前の米軍属女性暴行殺人事件を受け、軍属の範囲を縮小するために結ばれた。しかし実態は、日米地位協定の対象に本来は含まれるべきではない請負業者の被用者(コントラクター)はむしろ増えている。

 米政府と直接雇用関係にないコントラクターは北大西洋条約機構(NATO)などでも原則的に地位協定の対象に含まれない。

 地位協定で公務中の事件では米側に第1次裁判権があり、日本側は裁くことができない。一方で米兵は軍法会議にかけられるが、コントラクターは軍法の対象にも含まれない。

 2004年に米国の軍事域外管轄権法が改正され、コントラクターも同法の対象となったが、実際は米国の捜査機関が日本国内で捜査できるわけではなく、対象も重大犯罪に限られる。法の空白が十分にカバーされていない。日米地位協定を、コントラクターに特権を与えない諸外国のような形に改定すべきだ。

 補足協定で定めた軍属の範囲縮小がしっかり行われているのか、日米合同委員会のブラックボックスの中で見えづらくなっている。国民は「精査されていないのではないか」と疑問を抱かざるを得ない。日本政府のコミットメントを強め、情報公開により透明性を高めていくことも必要だ。