written by 新垣若菜(中部支社報道部)
5年前、那覇市の某居酒屋。私は当時所属していた教育班の先輩2人にカウンター席で詰め寄られていた。「本当に一度もないの? かすったことも?」。私は何度も首を横に振った。
右記は排せつ物「ふん」の話。生まれてこのかた、踏んだことがない。「わだちや草むらで…」。場所を提示しながら尋ねる2人を前に、コンクリートジャングル育ちの私は、置いてけぼりになったような寂しさを感じた。何にせよ未経験は悲しい。
月日は過ぎ、地方部配属になった。4月まで担当していた北谷町は県内屈指の観光地で、北中城村は道路整備が進み、それと出合うことはなかった。“うん”に見放されているのか運がいいのか、いまだ靴の裏は汚れていない。積極的に踏みたいわけではない。もちろん偶然の出合いが大前提である。
さて、そんな私が5月から闘牛が盛んなうるま市担当になった。大好きな闘牛大会の取材を、わざわざうるま市担当記者を説き伏せて奪う必要もなくなった。幸せだ。そして、牛舎での取材もきっと増える。そこには経験値を上げる念願のものも転がっていることだろう。わくわくが止まらない。
先輩の黒田さんと塚崎さん。初体験が近づいている気がします。その時が来たら、胸を張って報告します。
(うるま市担当)
ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。