保守系首長グループ「チーム沖縄」の顔役でもあった、下地敏彦前宮古島市長の逮捕の報は県政与野党に衝撃を広げた。与野党で意見が分かれる陸上自衛隊の先島配備に絡む収賄事件だったこともあり、今後の県内政局への影響も計り知れない。下地氏が落選した今年1月の市長選には政府も強い関心を示し、政党幹部らを投入して積極的に関与していた。
宮古島市長を2009年から3期12年務めた下地氏は、県内保守系の重鎮で、菅義偉首相と官房長官時代から結び付きが強かったという。
1月の市長選では菅首相の秘書が宮古島入りし、自民党本部も元防衛相の小野寺五典組織運動本部長が応援に入り「政府との強いパイプ」を強調した。
市長選で下地氏を推薦した自民党県連の島袋大幹事長は「ただただびっくりしているところだ。推薦はしたが、逮捕事案自体は数年前のもので県連として全く知らなかった。今後の推移を見守りたい」と語った。
同じく推薦した公明党県本部の金城勉代表は驚きつつ、「推薦したかどうかにかかわらず、容疑通りならばあってはならない話だ」との見解を示した。
政局への影響は限定的との見方もあるが、別の自民県連関係者は「チーム沖縄のリーダーでもあった。保守系候補に影響がないことはないだろう」と語った。秋までに実施される衆院選や来年の知事選など、今後続く大型選挙への影響を懸念する声も漏れる。
一方、先島への自衛隊配備に反対姿勢を示す県政与党は、強引に計画を進めた政府側の問題点を指摘する意見が上がった。沖縄・平和の仲村未央代表は「島民を二分した自衛隊基地建設の裏で金をもらっていたのが事実なら、断固として許されない」と話す。共産党県議団の渡久地修団長は「事実であれば、住民が猛反対する中で強引に進めた背景の一つになるのではないか」と指摘した。