沖縄、7市町村の首長が「先駆け接種」 余ったワクチンやキャンセル分


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新型コロナウイルスのワクチン接種(資料写真)

 新型コロナウイルスのワクチン接種が沖縄県内で進む中、優先接種者である医療従事者や高齢者の余剰分ワクチンで、14日までに県内7市町村の首長が接種を受けていることが、本紙の調べで分かった。廃棄回避や行政運営の安全性重視を理由に挙げている。一部小規模離島では、当初から全島民を接種対象者にしているため、すでに接種を済ませている村長もいる。確認が取れなかった名護市と今帰仁村を除き、全市町村から回答を得た。

 余剰分をめぐっては、厚労省のワクチン接種に関する手引きで「別の者に対して接種することができるような方法について、各自治体において検討を行う」とあり、各自治体独自に指針を決めることができる。

 集団接種でキャンセルが出た余剰分で接種を済ませたのは沖縄市、西原町、恩納村、宜野座村、伊江村、伊是名村、中城村。このうち60代は3人、70代は1人、50代は2人、40代は1人となっている。

 「キャンセルが出たため、打診があり受けた」「安全性を周知するため」などの理由を挙げている。また、西原町では町ホームページで「危機管理の面および行政運営に支障を来すことがないように」と接種理由を説明している。

 座間味村と渡名喜村は、全島民が接種対象で両村長も接種済み。大宜味村は村民と同様に高齢者の集団接種の日に受ける予定だったが「業務の関係から医師会と相談して事前接種を済ませた」と説明している。竹富町長は住民の集団接種初日に「安全性をアピールするため接種した」と説明している。一方で、接種をしていない自治体の首長からは「一般市民と同様の手続きで接種予定だ」「キャンセル分はキャンセル待ちの住民の分であり、首長だからといって優先にはならない」という声もあった。

 首長が接種を済ませている、ある自治体の40代の女性は「首長が接種することに抵抗はない。安全性を示してくれればいいのでは」と話した。また別の男性(66)は「住民の命に責任を負うからこそ、住民優先であるべきだ」と指摘した。