「魂焦がち」変わらぬ基地の島、沖縄の不条理訴え <5・15平和集会>


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 新型コロナウイルスの影響で昨年に続き中止となった「5・15平和行進」に代わり、北中城村の米軍キャンプ瑞慶覧ゲート前で開催された15日のアピール行動。全国から数千人が駆け付ける平和行進に比べると小規模となったが、参加した各団体の代表者は「魂焦がち」(魂を焦がして)の文字を入れた黄色のTシャツを着用し、日本復帰から49年たった今なお「変わらぬ基地の島」(アピール文)となっている沖縄の不条理を訴えた。

米軍キャンプ瑞慶覧のゲート前で開かれたアピール行動で気勢を上げる参加者=15日午前、北中城村

 「魂焦がち」は沖縄平和運動センター初代議長の新垣善春さん(故人)がよく口にした言葉だという。「平和の願いは遅々として進まない」「何も変わっていないどころか軍事要塞(ようさい)化は進んでいる」。梅雨の晴れ間が広がったゲート前で、各団体の代表者は身と心を焦がしながら決意を込めた。

 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、アピール行動には関係者のみ参加が呼び掛けられたが、「どうしても行かないと」との思いで駆け付けた県民もいた。遠巻きで様子を見ていた本島中部の女性(74)は、これまで約40年、平和行進に参加してきたといい「米軍基地は強化され、沖縄は踏んだり蹴ったりだ。次の世代に5・15を伝えていかないといけない」と力を込めた。

 平和行進は1978年から実施されてきた。15日のアピール行動終了後、沖縄平和運動センターの山城博治議長は「5・15は全国から約3千人もの仲間が集まり、政治や安全保障の不条理を沖縄から訴える唯一の機会だ。復帰50年の来年はぜひ開催したい」と見据えた。

 周辺では、拡声器で叫ぶ右翼団体の街宣車の姿もあり、県警の交通規制が敷かれた。