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5Gでeスポーツに革命、VRゲームの進化に期待【WSJ厳選記事】


テクノロジー

プレーの仕方や観客のイベントの体験の仕方が大幅に向上も



By Yang Jie
2021 年 5 月 28 日 13:32 JST 更新プレビュー


 6月、最新のハイテク装備で武装した若者たちが、敵を撃つために北京へ押しかける見通しだ。

 幸いにも、このイベントはモデルガンを使用したゲームにすぎない。しかし、これは第5世代移動通信システム(5G)の登場で、成長と変化が見込まれる盛況なビジネスでもある。

 ライブやオンラインの観客(その規模は時に数千万人にも上る)の前で経験豊富なプレーヤーが、賞金をかけてビデオゲームの腕を競い合うeスポーツ。米半導体大手インテルやスウェーデンの通信機器大手エリクソンなどさまざまな企業が、eスポーツを超高速な5Gネットワークの応用にうってつけの分野とみている。第4世代の技術よりもはるかに高速な5Gは、ゲームシーンやアクションの臨場感に決定的な違いをもたらす可能性がある。プレーヤーが互いの行動に反応したり、疑似環境をリアルに保ったりするためには、膨大な量のデータを転送できる高速なネットワークが必要だ。

 また、ネットワークが高速になれば、それぞれ別の会場にいる多くのプレーヤーが同一のeスポーツ競技で競える可能性も出てくる。一方、モバイル機器の通信高速化は、仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)ゲームの競技にとっても追い風となり、ゲームのプレーの仕方や観客と視聴者のイベントの体験の仕方が大幅に向上する可能性がある。

 VRゲームでは、プレーヤーはフェイスブック傘下のオキュラスなどが開発したヘッドセットを使用し、疑似環境に没入する。例えば、シューティングゲームでは、プレーヤーは仮想環境内を移動し、バーチャルな敵を撃つために偽物の銃の引き金を引くと、一連の砲火が現れる。

 これまでVRを利用したeスポーツでは、会場にいる競技者はある程度動き回ることはできたが、プレーを中断させないよう、データの転送を管理するコンピューターを詰め込んだかさばるバックパックを背負う必要があった。5Gによって競技者はケーブルやコンピューターが入った重いバックパックから解放され、もっと自由に動き回れるようになる。

 エリクソンのバイスプレジデントの一人、ケビン・マーフィー氏は3月に投稿したブログで、5Gは「業界に革命をもたらす。5G接続や高帯域幅の利用によって、モバイルやクラウドベースのゲームが優位に立つだろう」と述べた。

 中国人起業家の斉咲氏(40)は、VR技術のエンターテインメントへの応用に力を入れており、次世代のeスポーツに取り組んでいる一人。ディストピアSF小説「レディー・プレイヤー1(邦題『ゲームウォーズ』)」に触発され、この方向に事業のかじを切ったという。米作家アーネスト・クラインが2011年に発表した同作品は、2040年代のVRゲームのプレーヤーが宝探しをするという内容。スティーブン・スピルバーグ監督によって2018年に映画化もされた。

 斉氏は、数年前からVRビデオゲーム用に独自の筋書きを開発し始めた。同氏が立ち上げた当紅斉天集団(スカイ・リミット・エンターテインメント=SLE)は2018年、インテルから数百万ドルの投資を受け(正確な金額は未公表)、両社は5Gなどの新技術をVRに応用する取り組みに着手した。

 これまでのVRのeスポーツでは、通信速度の遅さが原因でヘッドセット内の映像がぼやけ、プレーヤーがしばしばめまいを起こすという問題があった。斉氏は5G接続によって、このめまい問題を解決することを目指している。同氏とインテルはまた、クラウドコンピューティングを利用して処理を高速化することにも取り組んでいる。選手が携帯しているコンピューターやデバイスではなく、中央のサーバーで負荷のかかるデータ処理を行う仕組みだ。

 「全てをクラウド化し、互いに遠く離れた場所にいても、5Gネットワークを介して同じ空間でリアルタイムに対戦できるようにすることが狙いだ」と斉氏は話す。

 VRが使用されたeスポーツでは、プレーヤーは従来のスポーツの試合のように自分の体を動かす。実際のアリーナでステージ上を歩き回り、身をかがめたり浮上したりして敵を撃つ。モデルガンやグローブ、ヘッドセットに搭載されたモバイルセンサーがプレーヤーの動きや射撃などのアクションを追跡し、データをVR環境に送信して処理する。プレーヤーはその世界をヘッドセット内で見ている。実際のイベント会場の観客は、プレーヤーがステージ上を移動する様子を見つつ、巨大スクリーンでVR環境内の戦いの様子を追うことができる。オンラインの視聴者も、そのバーチャルな戦闘を見ることができる。

 オンライン対戦ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会のような初期のeスポーツでは、観客は主にゲーム内のアクションを見ていた。時にはパソコンの前に座っている選手を見ることもあった。米調査会社グリーンライト・インサイツのマネジングディレクター、J.C.クアン氏は、選手が実際に動き回り、身体能力を試すのを見ることができれば、スリルが増すと述べた。




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