2年連続縮小「残念だ」 「慰霊の日」県追悼式 体験者らコロナ収束願う


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昨年の沖縄全戦没者追悼式

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、県が6月23日の沖縄全戦没者追悼式の参列者を30人程度に規模縮小すると発表したことについて、沖縄戦の体験者や遺族などからは「仕方ないが残念だ」などの声が多数を占めた。

 県遺族連合会の宮城篤正会長(79)は「こんな時期だから仕方ない。遺族は全員が後期高齢者になっている」と県の決定に理解を示した。読谷村遺族会の新垣生雄会長(80)は「(招待者が)少ないね」とぽつり。毎年、追悼式への参列は欠かしたことがなかったが、「全国的にも沖縄は特に感染状況が悪いから、遺族を呼ぶのも無理なのだろう。それぞれ自宅で追悼するより仕方がない。本当に本当に残念だ」と声を落とした。

 沖縄戦体験者で、平和の礎の建立に携わった元知事公室長の高山朝光さん(86)は、昨年に続き出席がかなわない。「一人一人がそれぞれの場所で、み霊を弔う気持ちを共有できるよう、県はきちんと意義を伝えてほしい。来年コロナが収束したら、コロナ前以上に大きな規模で慰霊祭をしてほしい」と注文した。

 県は昨年も感染防止のために規模を縮小し、追悼式会場を国立沖縄戦没者墓苑に変更すると、いったん発表した。その後、場所の変更によって「追悼式の意味が変わる」という有識者らの要請を受け、従来の平和祈念公園の式典広場に戻した経緯がある。知事に再考を求めた「沖縄全戦没者追悼式のあり方を考える県民の会」の共同代表兼事務局長を務めた知念ウシさん(54)は「感染状況がひどく、国立墓苑にならないか気にしていたが、そうならず良かった。昨年、しっかり声を届けたからだと思う。早くコロナが収束し、遺族と県民が集い、共に追悼と平和への誓いができるように願っている」と話した。