接種センター「二重予約」防止に課題 ワクチン廃棄の恐れ「県民に周知を」


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 【中部】沖縄県が今月中旬に開設する新型コロナウイルスワクチンの広域接種センター。政府が7月末までの高齢者接種完了を掲げ、実施主体の市町村が作業に追われる中、県はセンター開設で接種を加速させたい考えだ。市町村から開設を評価する声が上がる中、市町村による接種との「二重予約」も課題となる。二重予約は接種の無断キャンセルとワクチン廃棄を招きかねず、中部市町村会が県に防止策を要請するなど対応が必要とされている。

 自衛隊が大規模接種センターを設置した東京では、世田谷区の高齢者接種予約の5分の1が国との二重予約になっていることなどが明らかになった。国、県、市町村が予約を受けるインターネットのシステムはそれぞれ別で、二重予約を自動で防ぐのは難しい。県は9日から電話とネットで予約を受けるが、県の担当者は「ネットは市町村の予約とは別のシステムだ。入り口で(二重予約を)はじくのは難しい」と話す。

 県は予約サイトのトップページで二重予約への注意喚起を促すと同時に、県側で予約した人の接種券番号を定期的に市町村に提供して防止を図る。

 ただ、市町村側は県が提供した番号と市長村予約の照合という新たな負担が生じる。接種作業が多忙を極める中、チェック作業の余力があるかは課題だ。県は電話予約の場合、既に市町村の予約がないかを口頭で確認し、二重予約にならない人だけ受け付けるという。

中部市町村会が対策要請
 

謝花喜一郎副知事(右)にワクチン広域接種センターの運営に関する要請書を提出する中部市町村会の松川正則会長(中央)と浜田京介副会長=8日、県庁

 県が設置する新型コロナウイルス感染症のワクチン広域接種センターについて、中部市町村会会長の松川正則宜野湾市長=写真中央、副会長の浜田京介中城村長は8日、県庁で謝花喜一郎副知事に要請書を提出した。市町村の集団接種会場など、個別接種との二重予約ができない仕組みづくりと県民への周知、市町村の接種運営に支障のないよう医療従事者の確保などを求めた。

 要請書では本島中部の会場となる沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)の救急搬送体制構築への協力も求めた。

 松川会長は「広域接種を県がやってくれることには感謝している。ただ、懸念事項はあるのでしっかり連携して解決していきたい」と語った。謝花副知事は「中南部は人口も多く高齢者の数も多い。市町村の接種を補完する形でサポートしていきたい」と広域接種センター開設の意図を説明し、市町村と協力して運営する考えを示した。