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バイデン氏の対中政策、トランプ氏とうり二つ【WSJ厳選記事】


北米



By Alex Leary and Bob Davis
2021 年 6 月 11 日 03:16 JST 更新プレビュー


 【ワシントン】ジョー・バイデン米大統領の対中政策の方向性がここ1週間で明らかになりつつある。発表された措置からは、やり方は違っても、対中強硬姿勢を貫いたドナルド・トランプ前大統領のスタンスを踏襲する構えのようだ。

 バイデン政権は8日、トランプ氏が打ち出していた人気動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」など中国アプリの取り締まり措置を改善。この数日前には、米国による投資を禁じるトランプ政権時代の制裁リストにさらに中国企業を追加している。

 また政権は今週、台湾との間で貿易・投資協議を開始すると明らかにした。台湾を自国の一部と考えている中国の神経を逆なでする動きだ。

 バイデン政権関係者らは、最近講じた措置は全体として、トランプ氏の取った行動に積み上げるものだと認めている。投資禁止リストやTikTokなどアプリ絡みの命令については、バイデン政権として実行を確実に徹底するためのものだと説明した。

 ある政府高官は、バイデン政権はトランプ政権が実施していた措置の一部については不可欠だと考えていると明かす。「だが、これらの措置は必ずしも望ましいやり方で実行されておらず、同盟国やパートナーにも広げることを視野に入れた枠組みに基づいていなかった」

 ホワイトハウスはこれまで数カ月をかけて、対中政策の策定を巡り内部で議論を重ねてきた。対中政策はトランプ政権の外交政策の焦点でもあった。

 バイデン政権には対処しなければならない問題が山積している。1つはトランプ政権が課した巨額の対中関税の取り扱いだ。この関税は現在、中国から輸入品を購入する米企業が支払っている。

 保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のデレク・シザーズ常勤研究者は、バイデン氏の措置はトランプ氏の行動にプロの手法を取り入れたようなものだと話す。例えば、中国企業の投資禁止リストは訴訟への備えが強化されているという。

 シザーズ氏は「誰かの仕事を編集するのは、自分でやるよりは容易だ」とし、「これはまさにバイデン政権のやっていることだ。彼ら自身の仕事はなお目的を欠いている」と述べる。

 バイデン政権のアプローチについては、自国に跳ね返って悪影響をもたらしかねないとの懸念も出ている。

 ブルッキングス研究所の中国専門家、デービッド・ダラー氏は、中国と経済関係で相互に絡み合っている現状を踏まえると、「中国の孤立を狙うことは、世界の大半において好意的には受け止められないだろう」と指摘する。「これは自己破滅的な戦略だ。協力できる分野に一層注力すべきだ」

 ホワイトハウスは対中政策について、3本の柱に基づいていると考えている。つまり、米国の経済と民主主義を強化すること、トランプ政権で亀裂の生じた同盟国との関係を再構築すること、中国と対立する分野と協力できる分野を定めることの3つだ。

 高官の一人は、3つ目はなお途上にあり、「策定に最も時間を要している」と明かす。

 とはいえ、政権はこれらの分野の定義に着手している。その1つが台湾だ。

 トランプ政権は中国との対応に集中するため、台湾との貿易交渉には踏み込まなかった。だが、バイデン氏は台湾との貿易協議を再開しつつ、日韓首脳との会合後には、台湾海峡の安定維持を確実にすることを協議したとの声明を発表した。

 高官の一人は「中国が米国による(台湾への)コミットメントを疑うようなことがあれば、考え直したほうがいいとの明確なメッセージを送るよう、米政府は継続的な取り組みを行っている」と話す。

 米議会の親台派はバイデン政権に対し、さらに踏み込み、台湾との間で貿易協定に署名するよう求めている。その高官は、政権はまだその点に関しては決定しないと述べた。

 バイデン政権はいくつかの分野で中国との協力を探っており、最も顕著なのが気候変動対策だ。最近では米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表とジャネット・イエレン米財務長官が劉鶴副首相(経済担当)と協議したが、最初の電話協議からは数カ月後のタイミングだった。

 その高官は、貿易は「ある分野にきれいに収まらない」と話す。「われわれは中国による強制的な貿易慣行に懸念を抱いている。協力できる分野は望んでいたよりも狭まるかもしれない」

 バイデン氏は今週、米国のサプライチェーン(供給網)の対中依存度を低下させることを目的とした包括的な報告書を受け取っている。また初の外遊先として今週訪問している欧州では、同盟国と結束して中国に対抗するよう訴える考えだ。一方の中国は、新型コロナウイルス起源を巡り、中国研究所からの流出説を米大統領が取り上げていることに憤慨している。

 コンサルティング会社ユーラシア・グループの中国アナリスト、アリソン・シャーロック氏は「かなり包括的な対中政策になりそうだが、中国の政策を変えることが実際にできるのか? 私は確信が持てない」と話す。

 シャーロック氏は「中国は自信を深め、強引な姿勢を強めており、これが人権や安全保障など、最も神経をとがらせる問題への有意義な関与を妨げる」との見方を示す。「バイデン政権が期待できるのは、経済協力や気候変動といった相互に利益となる問題について、中国を交渉の場につかせることくらいだろう」




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