土地規制法案、沖縄での「捜索」示し懸念も 条文拡大解釈の余地 参院委


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 【東京】自衛隊や米軍基地、国境離島など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案を巡り、参院内閣委員会は14日、参考人質疑を実施した。法案作成プロセスに携わり、規制措置の必要性を強調する参考人からも「条文案を読むだけでは、さまざまな臆測が広がる恐れがあることは痛感した」と述べるなど、「機能阻害行為」や対象区域などが明確でなく、条文解釈を巡る懸念は強まった形だ。

 質疑では、政府が昨年開いた有識者会議で委員を務めた東京財団政策研究所研究員・研究部門主任の吉原祥子氏、防衛ジャーナリストの半田滋氏、弁護士の馬奈木厳太郎氏が登壇。

 吉原氏は「この法案ができることで、新たな別の不安が国民の間に呼び起こされては決していけない」との認識を示した。法案が土地の不正利用に対する「抑止力になる」としつつ、個人情報保護といった課題に触れ、懸念払拭(ふっしょく)へ継続して議論する必要性を語った。

 半田氏は、威力業務妨害の疑いでチョウ類研究者の宮城秋乃さんの自宅を家宅捜索した県警の動きを批判。土地規制法案の「先取りという他ない」と強く指摘した。問題となる「機能阻害行為」が、認定する行政側の「さじ加減一つ」で決まるとし、法案の立て付けを批判した。

 馬奈木氏は、戦前の要塞(ようさい)地帯法でも、司令官の許可を得なければ「要塞地帯内水陸の形状測量、撮影、模写、録取」することができないと、問題となる行為を明示していると強調。問題となる行為の例示を閣議決定に委ねる今回の法案ができれば「国会はいらなくなる」と懸念を示した。