「経済回復の切り札に」沖縄県内、ワクチン職場接種の申請相次ぐ 中小連携の動き 


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 新型コロナウイルスワクチンの職場接種について、県内企業・団体の申請が続いている。中でも観光業界は、観光客の受け入れ本格化に向けて、夏の繁忙期を前に接種を済ませようという意向が強い。職場接種は自前で医療従事者や会場を確保し、千人規模の接種体制を整える必要がある。中小零細企業が多い県内では、業界団体が中心となって複数社が連携して接種人数を確保する動きもある。経済回復の切り札として期待されるワクチン接種の加速化につながるか、職場接種の広がりに注目が集まる。

 沖縄電力は17日に職場接種の申請を済ませた。沖電職員やグループ企業の職員など4千人規模を想定している。医師や看護師、スタッフを13人確保。浦添市の本店を会場に毎週日曜を接種日とし、7月4日にも接種を始める。順調に進めば8月末の終了を見込む。
 沖縄セルラー電話も16日に申請した。接種対象はグループ企業の社員やその家族、auショップなどの従業員2千人を想定しており、接客要員などを優先的に進める。7月上旬に同社ロビーや会議室を使用してスタートする。

 琉球銀行、沖縄銀行、沖縄海邦銀行の県内地銀3行は、18日までに申請を済ませた。各行とも本店や自社ビルを会場に、7月から接種を始める。ワクチン接種に伴う特別休暇の取得を認める予定だ。接種当日のほか、副反応などで休む場合も休暇の対象とする方針。
 県ホテル旅館生活衛生同業組合と県レンタカー協会は、2団体合同で申請した。2千人規模を想定している。医療団体を通じて医師を確保し、那覇市内のホテルを会場にする。

 単体企業と違い、団体の場合は複数社をまとめる必要があり、組合関係者は「オペレーションをどれだけスムーズにできるかが課題だ」と話した。

 JTB協定旅館ホテル連盟(JTB旅ホ連)沖縄支部連合会とJTBレキオス会も申請を終えた。ホテルや交通、観光施設などの事業者とその家族の1万人以上を想定し、大規模だ。21日から希望者を募り、7月に接種を始める予定。かりゆしグループの那覇と恩納村のホテル宴会場を会場とする。JTB旅ホ連沖縄支部の平良朝敬会長は「県内観光事業者をほぼ網羅している。7月中には打てる体制をつくりたい」と話した。