ジュゴンの生息前提維持 「絶滅論文」受け確認 環境監視委


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
絶滅危惧種のジュゴン=2008年3月、名護市嘉陽沖(ヘリから撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事で沖縄防衛局は22日、第32回環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大大学院教授)をビデオ会議システムを通じて開催した。一部の委員が沖縄のジュゴンが「2019年に絶滅」と記した論文を発表したことについて、中村委員長は同委はジュゴンが生息している前提で議論を続けると確認したと報告した。

 中村委員長は「客観的に見て、委員会としての公式見解ではないのかと疑念が持たれるので確認した。これまでもジュゴンの鳴音は確認されている。この確認について特段の意見はなく了承された」と述べた。

 18年に防衛局が埋め立て海域から移植した絶滅危惧種オキナワハマサンゴ9群体と、移植先周辺にもともとあった12群体の繁殖状況を観察した結果、数年程度の寿命があることが判明しつつあると報告。「移植のストレスで生息状況が悪化したと分かる証拠は見いだされていない。総体として移植は成功しているのではないか」など委員から意見があったことを説明した。

 一方、結論を下すには観察した個体数が少ないのではないかとの異論があったことも説明。同委はこれまでのオキナワハマサンゴの観察で得られた新たな知見を今後、移植の成果として取りまとめる予定。