「愚かな歴史 二度と」 八重山、各地で戦没者追悼式


社会
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竹富町戦没者追悼式で黙とうする参列者=23日午前、竹富町竹富島

 【八重山】慰霊の日の23日、八重山の各地でも戦没者を追悼する式典が開かれた。この日の八重山は曇りから雨になるあいにくの天気だったが、参列者は静かに犠牲者を悼み、平和の実現を祈っていた。

 石垣市では午後、八重山戦争マラリア犠牲者追悼式と市全戦没者追悼式・平和祈念式があった。戦争マラリア犠牲者追悼式では、兄の潔さん(当時6歳)を亡くした八重山戦争マラリア遺族会の唐眞盛充会長(69)が追悼の言葉で、「マラリア有病地へ強制移動の命令を下した旧日本軍の行為は八重山住民に対する犯罪行為だったと思う」と指摘。「76年前当時の愚かな軍国主義政治体制、愚かな歴史を繰り返してはならないと心に誓う」と平和を訴えた。

 続く市全戦没者追悼式・平和祈念式では、市内の中高生2人が「平和を考える作文」を朗読した。

 石垣第二中3年の加原生彩輝さんは「人間が、人間らしく生きていくためには、平和でなければならない」と参列者に語り掛けた。八重山高2年の嘉那原夏乃さんは「バンナ岳の素晴らしい景色と遠くから聞こえる子どもたちの笑い声がいつまでも続くように、未来永劫(えいごう)の平和を心から祈る」と力強く訴えた。

 中山義隆石垣市長は「平和への思いを決して絶やすことなく、平和推進事業を継続し、未来を担う児童生徒へつないでいく」と市平和宣言を読み上げた。

 23日午前中には竹富町でも町戦没者追悼式が開かれ、西大舛高旬町長が「八重山から世界へ平和メッセージを発信していくことが責務だ」と式辞を述べた。参列した遺族の根原康尚さん(80)は「父と姉がマラリアで亡くなった。平和が一番だ」と静かに語った。

 与那国町は正午、町戦没者追悼式を開き、参列者が犠牲者を悼んだ。