<市町村別人口一覧付き>沖縄の人口増加率が鈍化 背景にあるのは?影響は?


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 沖縄の人口増は依然として全国でも高い水準にあるものの、人口増加率の伸びは鈍化しており、陰りが見える。人口減少は経済活動だけでなく、地域の医療や福祉、伝統文化などさまざまな活動に影響を及ぼす。とりわけ小規模離島社会は存続の危機に直面する恐れもある。県や市町村は地域の活力と成長力を維持し発展させるための施策を進める必要がある。

 国立社会保障・人口問題研究所の2018年の推計によると、1950年から続く沖縄の人口増は、2030年前後にピークを迎え、それ以降は減少に転じると見込まれる。

 県は15年に策定した「県人口増加計画改訂版」で、沖縄の人口減の要因は、結婚する人が減ったことにより、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」が低下したためと分析した。

 今回の国勢調査でも世帯数は前回調査に比べ9・3%増え、初めて60万世帯を突破するなど核家族化の進行が顕著だ。1世帯当たりの人数は50年前の4・23人から1・83人減の2・40人になるなど、未婚や晩婚の増加も影響していると見られる。

 人口減少によるさまざまな影響は、陸続きの本土の自治体よりも海で閉ざされた離島自治体の方がより深刻だ。いったん人口減少が進むと、社会システムの維持のため、現役世代への負担が増え、出生率のさらなる低下などの悪循環を招く恐れがある。県や市町村は人口減に対応するため、政策課題の優先度を最大限に高めて臨む必要がある。

 (梅田正覚)