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読者からの反響 共感「多くの女性が経験」 「現状変えねば」男性も <「女性力」の現実 政治と行政の今>27


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
メールやファクスで寄せられた読者からの感想

 「新聞を見て、いても立ってもいられなくてメールを送らせていただきます」

 1月12日付の「『女性力』の現実・政治と行政の今」で、元県議の狩俣信子氏、辻野ヒロ子氏が出馬を決めたきっかけや選挙で直面した女性への風当たり、政治活動への思いを紹介して以降、本紙には読者からのメールが相次いだ。

 女性の起業支援に取り組んでいるという女性は連載初回にメールを寄せ、「女性目線の視点や感性、センスを生かせる商品やサービスが世の中に増えることでもっと住みやすい明るい世の中になると思う」と自身の活動を紹介。「女性の活躍を理解し応援してくれる男性の輪も広がってほしいと切に願う」と語った。

 連載で喜友名智子県議、山内末子県議の経験を知った別の女性は「喜友名さんが女男の賃金格差や女性の貧困問題に言及してくれ、もっと話を聞きたいと感じた」「男尊女卑の古い価値観で無自覚に『女性には男性と同じ権利はないんだ』と気力を奪われることを私も言われる。全ての女性が経験することだと思う」と吐露。女性議員を増やすことでしか問題解決は難しいとし、「社会モデルとしてその属性が不利となるデザインを整え、変化していくことを望む」と訴えた。

 シングルマザーの当事者として、ひとり親支援に取り組む上地寿賀子南城市議の回を読み、那覇市の50代女性は「(子どもの貧困など)負の連鎖を断ち切るにはどうしたらよいか、みんなで考えないといけない。上地さんの活動を応援に行きたい」と語った。

 反響の多くは女性からのものだったが、「現状を変えていかねば」という男性の思いも寄せられた。

 琉球新報デジタルで記事を読んだ男性は「市町村議会から国会議員に至るまで多くは男性。身近な地域の議員から女性議員を増やして世の中を変える。現場の声が行き届く社会の実現のために必要だ」と説明。クオータ制の導入で議員の男女比率を半数ずつにすることや、多選を回避して幅広い人材が機会を得るために「任期は最高3期まで」と提案した。

 那覇市出身の男子大学生はスウェーデン留学などを基に、「日本のジェンダー平等を目指す」という趣旨で書いた卒業論文を読んでほしいとメールをくれた。

 県内のある大学教員は、政治分野のジェンダー・ギャップに関する県議アンケートの報道を受け、「政治家がどのようなジェンダー観を抱いているか知ることができ、ジェンダーを学ぶ大学生にとって投票相手を決める際の参考になる。授業の教材として使いたい」と話した。

 女性候補者を「ジャンヌ・ダルク」と呼ぶことに「おかしい」と声を上げた元宮古島市議の石嶺香織氏の回では、那覇市の40代女性が自身も同様の呼称を選挙で聞いたとし、「違和感があり、やめてほしいと思った」と語った。「革命の男神?はないが女性はある」とジェンダーの問題と共に、「運動の先頭に立つ人間を偶像崇拝的に扱ってはいけないという問題も含まれている」と指摘した。

 自治体の男女共同参画推進の委員を務めた経験がある女性は、ジェンダー平等が「なかなか前進しないどころか関係者の意識すら変わってこないことに多少のいらだちを覚える」と語った。ジェンダーの議論は「男性の育児参加の話に矮小(わいしょう)化されがちだ。家事労働を公平にすることも必要だが、重要なのは決定権を持つポジションに男性と同様、女性にも門戸が開かれることだ」と「クオータ制」の必要性を訴えた。

 行政分野の男女格差を報じた5月3日付の紙面を読んだ女性は「社会のあらゆる場面で起こる問題の根底には、差別があると思う。平等を語る以前に、根深い差別意識を掘り下げることで現実を変えることができるのではないか」と、あらゆる差別に対するきめ細かな報道を求めた。

 お茶の水女子大学大学院博士前期課程に在籍してジェンダー論を研究する玉城尚美氏は「制度が人をつくり、人が制度をつくる。まさに政治がこれに該当する」と指摘。政治の場の多様性実現に向けて問題提起する報道の継続を要望した。

 (座波幸代)


 世界的にも遅れている日本の「ジェンダー平等」。玉城県政は女性が活躍できる社会の実現を掲げ、県庁内に「女性力・平和推進課」を設置しましたが、政治や行政分野で「女性の力」を発揮する環境が整わない現状があります。女性が直面する「壁」を検証します。報道へのご意見やご感想のメールはseijibu@ryukyushimpo.co.jpまで。ファクスは098(865)5174