東江、池原選手へ「コミュニケーション密に」ソウル五輪ハンドボール・荷川取義浩さん<オリンピアンのエール>


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ソウル五輪の男子代表として活躍した荷川取義浩さん=2019年11月

 沖縄のお家芸であるハンドボールで、県勢ただ1人のオリンピアンである荷川取義浩さん(59)=北国銀行監督=が声を弾ませる。「開催国枠とはいえ、日本が五輪に出られるのはうれしい。競技の注目度も上がる」。自身が出場した1988年ソウル以来の出場となる男子は東江雄斗(28)が攻撃の司令塔を務め、76年モントリオール以来となる女子では池原綾香(30)が点取り屋の役割を担う。「沖縄にとっても明るいニュース」と故郷に思いをはせる。

 東江の父・正作さんは浦添高時代の一つ先輩だ。幼少期から東江を見ていて「お兄ちゃん(太輝)の後を追い掛けてハンドをやっていた。本人の努力がこんなに大きく実を結ぶとは」と、代表チームの攻撃をけん引する姿に驚きを隠せない。多彩なシュート技術を持っていた正作さんと重ね「お父さんにいろいろな技術を学んだんじゃないかな」と推測する。

 日本リーグ女子を7連覇中の北国銀行を率いており、池原についても「日本にいた頃に対戦し、上背はないけどサイドシュートを決めきる力がある」と高く評価している。現地ドイツで観戦した2017年の世界選手権では「日本の得点源になっていた」とゴール前で華麗に舞う姿は深く印象に残っている。

 自身は五輪で緊張もあったというが、「2人は国際経験も多く積んでるから心配ない。普段通りのプレーを見せてほしい」と地元の後輩の活躍を頼もしく見詰めている。

 男女とも2日に1試合という厳しいスケジュールで、体格の大きな海外勢にどう対抗するかをポイントに挙げる。自身は守りでブロックするタイミングや仲間との連動性を意識していたと言い「コミュニケーションをどれだけ密にできるかが大事」とチームの中心である2人の統率力に期待を寄せる。その上で「メダル獲得までいってくれたら」と日本の躍進する姿を楽しみにしている。
 (長嶺真輝)


 東京五輪の開幕まであと半月。県勢は過去最多の10人が出場を決めている。これまで五輪の舞台に立った「うちなーオリンピアン」たちが、母国開催の特別な五輪に挑む現役選手にエールを送った。