高2自殺の遺族、再調査求める 沖縄県議会、保護者らきょう招致


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 部活動の顧問から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受けたコザ高校2年(当時)の男子生徒が自殺した問題で、県議会文教厚生委員会は15日、再調査を求めて陳情を出した県立高校の保護者有志を招致して意見を聞く。遺族は14日までに、本紙取材に対して「時間をかけてしっかり調査してほしい。息子が生きた証しと尊厳を守ってほしい」と話し、再調査の実施を強く求めた。

 今年1月、部活動の主将を務める2年の男子生徒が自ら命を絶った。県教育委員会は文科省の「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」に従い、コザ高校の学校管理者へ教職員と生徒の聞き取り調査(基本調査)を指示した。2月8日、学校から県教委に調査結果が提出された。

 同月16日、県教委は第三者による調査チームを発足。3月5日にチームから調査結果(詳細調査)の提出を受けた。

 18日間で調査が実施されたことについて、県教委は「遺族が早い調査を求めていると伝え聞いた。3年生は卒業目前で、早い時間で調査をする必要があると考えた」と本紙に説明した。

 本紙の取材に遺族は「実際の調査はもっと短く、対象者も限られた。教職員たちの聞き取りも不明な部分があり、同じ部活をしていた子たちの声も全然反映されていない」と疑問を呈した。

 「息子の死を言葉にすることは一生できない。調査が長くなれば、思い返してさらにつらくなることは分かっている。それでも、息子が生きた証しや尊厳を守りたい。私たちが今感じているつらさとは比べられないぐらい、本人は相当つらかったはず。しっかり調査をしてほしい」と訴えた。

 県議会に陳情を出した県立高校保護者有志の一人、鈴木友一郎さんは「利害関係者の学校が基本調査を実施することにまず大きな疑問がある。他県の同様の事例でもここまで短期間で調査を終えたものは見当たらず、この事件が起きた要因があぶり出されない」と調査を批判した。