人出を抑制し、新型コロナウイルスの市中感染を防ぐ策として、沖縄県は21日の対処方針変更で、県立施設を再度休館する緊急的な対策を打ち出した。だが、既に取ってきた対策によって、感染者数の減少など、根本的な解決につながるのかは不透明だ。県の専門家会議の委員からも「切れるカードが少ない」との声も漏れ、変異株の置き換わりによる感染急拡大に、これまで実施してきた県の感染症対策が限界を迎えつつあることを印象付けた。
緊急事態宣言の再延長が決まった今月初旬、玉城デニー知事は7月末までの宣言解除を目指す方針を打ち出していた。21日の会見では来週まで感染者数の推移を見る考えを示し、「取り組みは必ず週を明けて次の週、1週間ぐらいたつと必ず数値として現れてくる」との見解を示した。県幹部によると、当初は8月2日の宣言解除を目指していたが、県庁内では「厳しい」との見通しが圧倒的となっている。
県によると、現状よりさらに感染状況が悪化した場合、1週間の新規陽性者が約900人に上り、緊急事態宣言前の5月中旬ごろの水準まで悪化する可能性もある。「自粛疲れ」がみられる県民に危機意識を持ってもらうため、県政の発信力も問われる。
一方、ワクチン接種が進む高齢者は、感染者数の割合が大きく減少していることもデータで明らかとなってきた。
希望する全ての人に対してワクチン接種の促進が求められる。より機能的で効果的な接種体制を県と市町村が協力しながら、構築していくことも急務だ。
(池田哲平)