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史上最高額の東京五輪、歴史的位置付けは【WSJ厳選記事】


オリンピック

By Alberto Cervantes
2021 年 7 月 26 日 13:04 JST 更新プレビュー

 東京五輪は、史上最も高額な大会になることが確実視されている。公式発表による予算は154億ドル(約1兆7000億円)だが、日本の会計検査院によると、総支出額は200億ドルを超え、東京が五輪招致活動を始めた当初の予想額約74億ドルのほぼ3倍となる。これは、次に費用が高額だったロンドン五輪の総費用よりも110億4000万ドル多い。

 五輪関連費用に関するある調査によると、オリンピックはどの国でも開催可能だが、最も高額なメガイベントの一つだ。五輪開催にかかるスポーツ関連費用の平均額は120億ドル、スポーツ以外の関連費用は通常その数倍であることが、この調査で明らかにされている。東京大会の場合は、組織委員会によると、開催を延期したことで最終的な費用はさらに28億ドル加算されたという。

 多額の出費

 五輪費用の中でずばぬけて高いのは会場建設費だ。今大会では約30億ドルをかけ、8会場が建設された。この中には、2019年に完成した6万8000人収容可能な国立競技場や、水泳とバレーボール用アリーナ2つ(ともに1万5000人収容)が含まれる。さらに25の会場が改築された。

 1種目あたりの費用も高くなっている。夏季大会の1種目あたり平均費用は2240万ドル、冬季は3920万ドルだ。

 膨れ上がるコスト

 東京五輪の高額な費用の理由は、単に開催延期の影響だけではない。オリンピック予算は従来、不確定要素が多くなりがちで、そのことが大幅なコスト超過につながる。1960年以降、毎大会そうなっている。

 2020年のオックスフォード大学の研究論文では、筆頭筆者ベント・フライフヨルグ氏らが超過コストを測定した。たとえば、80億ドルと見積もられていた大会が、実際には120億ドルかかっていた場合、その大会では50%のコスト超過が発生したことになる。コスト超過を測定する基準は、五輪招致に名乗りを上げた時点で見積もられたコストだ。

 この研究によると、大会のコスト超過は長期にわたって経済的な影響を及ぼす可能性がある。モントリオールのケースでは、1976年夏季大会で720%の超過支出が発生し、その負債の返済に30年かかった。同様に2004年アテネ大会でのコスト超過とそれに関連した負債は、2007年から2017年まで続いた金融・経済危機を悪化させた。

 コストが高いことに加え、収入減も見込まれている。また、政府が大会終了までの期間、東京を新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言下に置くことを決定したことに伴う無観客措置は、日本の多くのチケット保有者と地元主催者にとっても打撃であり、チケット収入のうち約8億ドルが消えることになる。

 さらに海外からの訪日客数は約3分の1に減少した。それでも、5万人以上の選手、関係者、報道陣などが東京に集結し、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まって以来最大の国際イベントだ。

 日本の自動車最大手トヨタ自動車は、新型コロナの感染拡大が懸念される中で開催される東京五輪の開催中、国内で五輪関連の広告を出さないことを発表した。

 確かに五輪による損失は、最悪の予想でも日本の経済規模の1%ポイントに満たない。野村総合研究所のエコノミスト木内登英氏は、東京大会を観て、パンデミック後に外国人観光客が日本を訪れ、お金を落としてくれる可能性はまだあると指摘している。




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