沖縄なぜ最下位?ワクチン接種16% 供給不足だけなのか 先進自治体の工夫は


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 感染拡大の「ゲームチェンジャー」として期待される新型コロナウイルスワクチン接種だが、接種体制構築や供給の遅れなどで沖縄県内では思うように接種が進んでいない。県内の65歳以上の高齢者で2回目の接種を終えた人は、全国平均を下回り、全人口で2回目の接種を終えた人も、全国最下位にとどまっている。全国の自治体の中には、24時間接種体制の構築や地区ごとの集団接種、余剰ワクチンの活用などで接種率を高めている所もある。専門家は「こうした自治体を参考に加速してほしい」と話す。

 県内の65歳以上で2回目の接種を終えた人は28日時点で67・05%と全国平均の71・53%を約4・5ポイント下回る。全人口で2回目の接種を終えた人も16・97%で全国最下位となっている。

 県によると、接種率が低い要因として(1)体制構築の遅れ(2)県の高齢化率が低く人口に対して供給量が少ない(3)接種券発行が遅れ、職域別の接種などを受けた人でもワクチン接種記録システム(VRS)に反映されていない(4)ワクチンを希望しない人が一定数いる―などが考えられるという。

 供給量も需要に追いついていない。7月後半は250箱の希望に対し供給量が110箱、8月前半は266箱に対し107箱、8月後半は194箱に対し106箱で、県の希望の半分程度、もしくはそれ以下にとどまっている。

 接種率は自治体によってばらつきがあり、石垣市や宮古島市など離島で進む一方、那覇市や宜野湾市、うるま市など市部で低い。全国の自治体は、効率的な接種や円滑な予約体制を構築するなど、さまざまな工夫で高めている。

 群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師は「自治体の成功モデルを参考に、各市町村は接種を加速化してほしい。供給不足については、感染者数の多い沖縄に国が必要数を早く供給するよう、県のリーダーシップで国に強く働きかけてほしい」と話す。全国の取り組みは官邸のホームページに掲載されている。


全国自治体 工夫さまざま

 福島県相馬市は、地区ごとに日時を指定する集団接種を実施。予約せずに会場で接種を受ける方式で“相馬モデル”と呼ばれる。各地区から会場への送迎バスも運行。7月中旬に16歳以上の83・7%が接種を完了。中学生の集団接種も始まった。

 福岡県福岡市は、毎日午後10時~翌8時の深夜帯の接種会場を設置。24時間体制の接種体制を確保した。

 長野県千曲市では、貸切バス車両を接種会場に活用し、医療従事者を乗せた貸切バスが、集団接種会場とは別に市内17カ所を回り、接種を実施する。

 余剰ワクチンを廃棄しない取り組みも進む。札幌市は7月1日に「ワクチンロスゼロセンター」を開設。毎日、個別接種医療機関がセンターに余剰分を登録し、センターが午後2時45分ごろにSNSやホームページで空き枠を公表する。午後3~4時に電話で希望を受け付け、当日に医療機関で受けられる仕組みだ。キャンセルなどが出た場合に備え、多くの自治体で事前の接種希望者の募集も行う。

 


▼【グラフで見る】沖縄の感染者数推移
▼沖縄なぜ最下位?ワクチン接種16% 供給不足だけなのか
▼河野沖縄相、ワクチン前倒し配分に消極姿勢
▼他の年代の倍以上!20代感染が突出 重症者7人に1人
▼「ウィズコロナ」県の政策もう限界 接種急げ 徳田安春医師
▼【図でわかる】免疫いつから?持病ある人は? ワクチン接種Q&A
▼現在の接種ペースだと…沖縄は年末まで緊急宣言
▼【写真特集】コロナ禍でも人気 沖縄・超高級ホテルの世界