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デルタ株で試練に直面、中国のコロナ戦略【WSJ厳選記事】


アジア・オセアニア

南京市で集団感染が発生した7月20日以降、急速に感染が広がっている

By Sha Hua
2021 年 7 月 31 日 03:21 JST 更新プレビュー




 【香港】中国の新型コロナウイルス対策はここ1年、おおむね感染抑制に成功していたが、感染力の強いデルタ株が国内で急速に広がる中、新たな試練に直面している。

 少なくとも200人が感染した集団感染は、世界的に見れば小規模だ。だが、7月20日に中国東部の人口930万人の都市、南京市の空港清掃員9人を対象とした定期検査で初めて検出されて以来、感染は瞬く間に広がり、16省の少なくとも26都市に飛び火している。

 今回の集団感染では、無症状か、症状が非常に軽い人から急速に感染が広がっている。これは、1年以上にわたって国境を厳格に管理し、国内で集団検査や隔離を徹底してきた中国に難題を突きつけるものだ。多くの感染者は、接触追跡や集団検査が行われるまで、何日も発見されずにいた。

 当局は29日までに16億2000万回のワクチンを接種したが、ワクチン接種を完了した人の中にも感染者が出たことで、中国製ワクチンのデルタ株に対する防御力に疑問が生じ、追加接種を求める声も高まっている。

 一方で、感染は1年以上にわたって散発的で局所的な流行にとどまっていたため、人々の警戒心は薄れている。国内の多くの地域で、かつては避けられなかったマスクの着用やデジタルヘルス規範の確認が後回しになっている。

 中国の著名な公衆衛生専門家である張文宏氏は、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」に、新たな感染急増は中国の今後のパンデミック(世界的大流行)戦略にとって「考える材料」になると書き込んだ。

 華山医院(上海)の感染病部門長を務める張氏は、中国がウイルスを完全にシャットアウトして撲滅しようとするのではなく、ウイルスやそのリスクとうまく共存するために戦略を調整する必要があるのではないかと問題提起している。

 湖南省の観光名所である張家界で、2000人以上の観客を入れて行われた劇場公演が第2のスーパースプレッダー集団感染になった可能性に注目が集まっている。首都北京では、少なくとも2人の感染者が張家界クラスターと関連があると指摘されている。

 東北部の港湾都市、大連の感染者4人は、張家界の公演に向かう途中、南京空港で乗り換えていた。

 先週、南京市衛生局は地元メディアに対し、ほとんどの感染者が「ブレークスルー感染」であることを明らかにした。ブレークスルー感染とは、ワクチン接種完了から14日以上経過した後に新型コロナに感染するケースをいう。

 中国で最も有名な疫学者である鍾南山氏は、5月に国営テレビ局の中央電視台(CCTV)で、中国が集団免疫を獲得するためには人口の80%にワクチンを接種する必要があると述べたが、ゴールドマン・サックスのエコノミストによると、この目標は今年末まで達成できそうにない。

 他の著名な中国の公衆衛生専門家はここ数週間、このところの感染再燃と新変異株の出現を考慮すれば、治験結果が明らかになり次第、追加のワクチン接種が必要になるだろうと述べている。

 華山医院の張氏は、ワクチン接種を完了した人の比率が70%近いイギリスやイスラエルのデータに言及し、新規感染者が急増する中でも、入院患者や死者の数は抑えられていると指摘した。

 中国疾病予防管理センターの元副所長である馮子健氏は6月の会合で、「ゼロ・コロナ」戦略から、国境をよりオープンにする戦略に移行するタイミングは、高いワクチン接種率に大きく依存すると述べた。ただ、最終的には、それに伴う犠牲を巡る社会的、政治的コンセンサスが必要だとしている。

 中国の感染者数は2020年3月以降、低水準で推移している。局所的な流行が起これば、市全体での集団検査、対象となる住宅の閉鎖、一時的な渡航制限、接触者の追跡、濃厚接触者の隔離などの組み合わせで、速やかに収束させてきた。

 足元の感染再燃を受け、南京市当局は映画館、ジム、バーを閉鎖し、不要不急の旅行を取りやめるように呼びかけている。また、空港職員の検査を週1回から3日に1回に増やした。

 中国南部では、大都市の広州と深センでデルタ株感染が拡大する中、人の接触を最小限に抑えるため、今後は訪問者を特別に建設された隔離センターに誘導する計画だ。

 




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