飼料高騰、農家を圧迫 4~6月期、原材料価格2倍


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生後1カ月の子豚に餌を与え、健康状態を確認する金城栄社長=2日、南城市大里のおおいしばるファーム

 肉用牛や豚など家畜の餌である配合飼料の価格が、海外での需要急増やコスト高を受けて高騰し、農家の経営を圧迫している。配合飼料の主な原材料となるトウモロコシの2021年4~6月期の国際価格は1ブッシェル(約25キログラム)当たり6ドル後半で、20年8月の3ドル前半から2倍近くに膨れあがった。JA全農も7~9月期の配合飼料価格について、前期(4~6月)に対して全国全畜種総平均で1トン当たり4700円値上げすると発表。畜産農家は、生産コストの大部分を占める飼料代の高騰に悲鳴を上げている。

 県農林水産部の担当者によると、飼料価格の高止まりは昨年9月ごろから続いている。背景にはアフリカ豚熱から回復した中国での需要急増や、原油価格、海上輸送費などのコスト上昇がある。県内で使用する飼料は大半が米国やブラジルからの輸入に頼るため、産地の天候状況や為替も価格に大きく影響する。

 農林水産省は1~3月期と4~6月期の飼料価格が前期比で高騰したため、国や飼料メーカー、農家が積み立てる「配合飼料価格安定制度」を発動し、差額分を補填する措置を講じた。

 南城市大里で養豚場「おおいしばるファーム」を営む金城栄社長は「基金の発動は助かるが、資金が手元に届くのは2カ月後。当面の資金繰りに困る農家も少なくない」と話す。

 農場では1500頭を飼育し、毎月60トンの飼料が必要だ。最近の飼料代は1トン当たり6~7万円で、前年同時期と比べ1万5千円程度高くなった。金城社長は「新型コロナの影響で外食需要が減り、観光客の需要が高かったブランド豚の伸び悩みも経営に直結している。課題は山積だ」とため息をついた。

 鶏卵を生産・販売する見奈須フーズ=南城市大里=は、約10万羽を飼養している。宮城哲治社長によると月300トンの飼料を購入、餌代は経費の7割を占める。7月の餌代は前月と比べ約170万円増えた。

 宮城社長は、亜熱帯地域の沖縄は県外に比べ家畜の飼料消費量が多い上、離島県で輸送コストも割高になると指摘。「せめて離島の不利性を解消できるように、県に運送コストの一部負担をお願いしたい」と訴えた。