病気やけがで足に悩む人の「履きたい」をかなえる 老舗靴店が手掛ける「整形靴」


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「足にトラブルがある人に整形靴を作りたい」と話す大田製靴店の(右から)大田守誠社長と義肢装具士の重石祐希さん、整形靴技術者の大田千香さん、同店2代目の大田守康さん=3日、那覇市松尾

 靴製作専門店の老舗、大田製靴店(那覇市松尾、大田守誠社長)は、病気やけがで既製の靴が履けない人の足に合わせて製作する「整形靴」に取り組んでいる。現在、県内で唯一整形靴を製作できる専門店で、2020年に法人化した。今年4月からは国家資格の義肢装具士資格を持つ職員が入社したことで、県内医療機関との提携業務を始め、医療・保険制度も利用が可能となった。

 大田社長は「県内では小児まひなどで整形靴を必要とする人が多くいる。しかし、医療機関では整形靴についての認知度が低く、必要な人に情報が行き届いていないと感じる」と話す。

 同店で製作する整形靴は約20万~30万円で販売しているが、保険適用の場合は個人負担が最大3割となる。

 大田製靴店は1929年に紳士靴の製造や靴修理の専門店として開業し、今年で創業92年となる。3代目に当たる大田社長は、兵庫県にある国内唯一の整形靴製作技術者養成校を卒業した後、県外の義肢装具会社の整形靴部門や欧州整形靴マイスターの工房でも勤務し、腕を磨いた。

 2016年に日本義肢協会に靴型装具製作者として認定され、17年に大田製靴店を継いだ。従来の紳士靴製作ではなく、足に悩みのある人を対象にした整形靴や、靴の中に入れるインソール製作を始めた。

 大田社長は「足に悩みがあって諦めていた人や、どこに相談したらいいか分からない人に、ぜひ県内でも整形靴の製作ができることを知ってほしい」と述べた。注文などについてはホームページ。https://www.ota-seikutsuten.com/company