沖縄県勢初の金メダリストが空手家から誕生した。空手発祥の地、沖縄の歴史に新たに刻まれた快挙に、空手関係者は愛好家の増加や裾野の広がりに期待する。着用していた空手着にも注目が集まり、これまでも重要コンテンツだった空手に、観光業界でもコロナ後の経済効果に期待が高まる。
「空手選手を夢見る子どもたちの大きな励みになる」。沖縄伝統空手道振興会長を務める玉城デニー知事がこう語るように、金メダルを獲得した喜友名諒選手(31)の活躍に空手関係者は沸き立った。
喜友名選手の師・佐久本嗣男氏が理事を務める県空手道連盟の国吉洋一郎事務局長は「空手を始める子どもたちは既に増え始めている」と語る。「間口は広くして、空手を楽しみながら一人でも多くの子どもたちに伝統として、継承してほしい」と語った。
空手着を扱う那覇市泊の守礼堂は7日、店舗前に喜友名選手の快挙を受け「金メダルおめでとう」と書いた垂れ幕を設置した。すると、すぐに道行く県民が立ち止まり写真スポットと化した。
新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けた沖縄観光。関係者は海外も含め1億3千万人とも言われる空手愛好家の存在に観光復活に向けた期待をかける。
那覇市牧志にあるホテルパームロイヤルNAHAの高倉直久総支配人によると、これまでも海外の空手愛好家がグループで道場に通うために2週間ほど宿泊した事例があるという。「長期滞在客を海外から呼び込むチャンスだ」とアフターコロナを見据えた。