町長選と観光客で?与那国のコロナ感染急増 診療所一つの島、今月38人


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 【八重山】沖縄県は14日、八重山保健所管内で新たに37人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。居住地別の内訳は石垣市在住者が22人、与那国町在住者が15人だった。与那国島では8月に入り感染者が増加しており、13日までに23人の感染者が判明。今月だけで計38人となっている。島には一つしか診療所がなく、県も医師と看護師を派遣するなど対応に乗り出している。

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 与那国島では8日に町長選があり、島内では8月上旬、人の動きが活発化していた。選挙事務所内ではマスクをせずに過ごす人の姿もあり、選挙関係者からも感染者が出ている。

 町の長寿福祉課の担当者は、観光関係の場でも感染が出ているとし「必ずしも選挙関係者内に感染者が集中しているわけではない」と説明する。島内のレンタカー店によると、夏休みシーズンの観光客数は通常時よりは少ないものの、例年の半数よりは多い客足の状態という。

 感染者が中等症か軽症かの判断は、石垣島の八重山病院での診断となる。県は医師と看護師を島に派遣し、入院の必要がある患者の搬送について調整を進めている。

 与那国島では65歳以上の高齢者の7割以上が新型コロナワクチンの接種を終えている。だが16歳以上の町民向けの1回目のワクチン接種は、予定していた7月下旬に台風6号が接近したため、今月14、15の両日に延期されていた。町の担当者は「島外からウイルスが持ち込まれたのが、人の交流が増える選挙の時期に重なってしまったのではないか。タイミングが悪かった」と話している。

 八重山保健所の担当者は「これから旧盆のシーズンを迎え、交流が増える可能性がある。島の生活を守るためにも感染予防の徹底が必要だ」と注意を呼び掛けている。