有害PFAS、全国の自衛隊基地の水槽も調査へ 岸防衛相「那覇の事例踏まえる」


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記者会見する岸防衛相=7日午前

 岸信夫防衛相は7日の会見で、航空自衛隊那覇基地で消火設備の水槽から有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)の一種、PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)が高濃度で検出されたことを受け、同様の設備を持つ全国の自衛隊基地で水槽の調査を行う考えを示した。岸氏は「那覇基地の事例を踏まえ、PFOS等の混入に対して適切な措置がしっかりなされるよう検討する」と述べ、対策を急ぐ考えを示した。 

 調査対象は全国の陸上、海上、航空の3自衛隊施設を対象とする方針だ。防衛省は調査対象となる施設の数や実施時期は現在検討中としている。一方、高濃度のPFASが検出された水は廃棄処分する方針だが、時期は未定としている。

 空自那覇基地では今年2月、泡消火剤を入れ替えている作業中に、誤って泡が周辺地域に飛散する事故が発生。自衛隊は当初「PFOSは含まれていない」と関係機関に説明したが、後にPFOSが含まれていたと発表した。

 同省による4月の調査結果で、本来は真水が入っているはずの水槽から高濃度のPFASが検出された。そのため、別の二つの水槽で保管していた水の水質を調査した結果、水1リットル当たり46万3400ナノグラムと、1万4540ナノグラム(それぞれPFOSとPFOAの合計)を検出した。国の暫定指針値(両物質の合計が水1リットル当たり50ナノグラム)を大きく上回り、最大約9200倍に当たる。基地内水路からも、暫定指針値を超える72~122ナノグラム(PFOSとPFOA合算)が検出された。