8月の中小企業景況、過去最低の水準 多くの業種で需要不振


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 県中小企業団体中央会(島袋武会長)は14日、8月の景況動向を発表した。前年同月と比較した企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、7月調査から22.7ポイント悪化して全業種でマイナス81.8となり、過去最低の水準だった。緊急事態宣言の長期化などで、多くの業種で需要不振が生じている。

 調査は、中央会所属の各業種組合事務局などの情報連絡員22人から聞き取った。業況DIのマイナス81.8は、2008年8月、昨年4、5月、今年3月以来の水準。業態別では、製造業が前月比20ポイント悪化のマイナス90.0、非製造業が同25ポイント悪化のマイナス75.0だった。

 業界の景況について、製造業は10業種のうち9業種が「悪化」と答えた。前月の調査で横ばいとしていた酒造業や繊維・同製品業が「悪化」に転じた。原油価格上昇によるコスト増で利益を圧迫されている業種が多いという。

 繊維.同製品業は「大型商業施設の土日休業の影響が大きい。工場の操業時間を短くするなど生産調整を行う企業も複数見られる」と報告した。

 非製造業は、12業種中9業種が「悪化」とした。自動車卸売業は、新型コロナウイルスの影響で自動車の買い換えが進まないことから中古車市場に出回る数が少なくなり、仕入れ単価が高くなっているとした。

 青果卸売業は、緊急事態宣言の延長で旧盆行事を自粛する家庭が多かったことから購買が冷え込んだという。

 ホテル旅館業は、1カ月の平均稼働率が20%台と低迷したとして「ロックダウンの報道がきっかけでキャンセルが増えた施設もあったようだ」と回答した。

 島袋会長は「新型コロナの影響が長引くと、体力のない中小零細企業は非常に厳しい。感染が落ち着かないと経済を回すこともできない。国が財政出動をした上で、ロックダウンのように強い措置で短期間に感染を押さえ込むことも必要になる」と話した。