温浴施設「バーデハウス久米島」民営化へ 閉館中、23年の運営開始見込む


社会
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町が民営化する方針を固めた「バーデハウス久米島」。民間企業から新たな活用法などについて意見を募る (久米島町役場提供)

 【久米島】沖縄県久米島町の町有施設で、2020年10月から一時閉館中の「バーデハウス久米島」の再生に向け、町が民営化の方針を固めたことが27日までに分かった。既に民間事業者の参入意欲や運営手法を探る市場調査を始めており、民間の資金力やノウハウで再生を目指す。早ければ23年4月の運営開始を見込む。

 バーデハウス久米島は、海洋深層水を利用した温浴施設。指定管理者の民間企業に年間3千万~5千万円を町予算から支出していたことが負担となっていた。

 大田治雄町長や町商工観光課など関係部署の職員が協議し、昨年12月ごろに民営化の方針を決めた。大田町長は琉球新報の取材に「これ以上、町として面倒を見ていくのは難しい。民間の力で、宿泊施設を建てて滞在型の施設として再生させてほしい」と話した。

 施設は04年のオープン以来、町の主要な観光施設として、町民や観光客が利用してきた。町と民間事業者が出資する第三セクターのオーランドが指定管理者として運営していた。

 だが、施設の老朽化に加え、海洋深層水をくみ取るポンプやボイラー設備の塩害による劣化もあり、維持管理費や修繕費が増大した。コロナ禍による利用客の低迷も追い打ちを掛け、一時閉館となった。

 久米島町は指定管理者委託料や町民利用料の補助などで、年間で最大5千万円を支出。設備の故障などがあれば別途、数百万円を予算化してきた。町の担当者によると、施設の在り方を協議する中で、「これ以上税金を注ぎ込むのはどうなのか」などの意見が出たという。

 町は施設の新たな運用方法などについて、民間事業者と直接意見を交わす「サウンティング型市場調査」を8月から始めている。9月27日時点で、県内外の17の企業から問い合わせが来ているという。10月4日には現地見学会を実施する。問い合わせは町商工観光課(電話)098(985)7131。