辺野古新基地の埋め立てのため沖縄本島南部の土砂を採取する国の計画を巡り、自民党総裁選候補者4人に公開質問状を送っていた沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は29日午前、沖縄県庁で記者会見し、どの候補者からも回答がなかったことを明らかにした。回答期限は24日だった。
公開質問は、本島南部が沖縄戦戦没者の遺骨が眠る地域だと指摘し、「基地建設に賛成か反対かではなく単純に人道上の問題だ」として、土砂採取計画への対応を聞いた。自民党総裁選候補者から回答がなかったことについて、具志堅氏は「戦没者に対して救済の意識を持っていないと思える。そういう人がこれから先、日本の国をリードすると思った時に、残念と言うよりも非常に悲しい」と話した。
質問状は、自民党を除く主要7党の代表にも送り、共産、公明、立憲民主、社民、れいわ新選組(回答順)の5党代表から回答を得た。日本維新の会からは、期限に遅れるが回答するという連絡があり、国民民主からは連絡がないという。
共産は「戦没者を冒涜する土砂の採取計画は直ちに撤回するべきだ。政府は戦没者の無念と遺族の心情に寄り添い、遺骨収集と返還に全力を挙げるべきだ」と回答した。
公明は「南部地区の鉱山から調達した土砂が必要なのか、変更承認後の工事の実施段階で説明を求め、必要があれば防衛省と協議したい」と回答した。
立憲民主は「党として新基地建設を中止することにしている。(南部土砂を使うことは)遺族や国民の心情から言って、とうてい許されるものではない」と回答した。
社民は「特別法によって遺骨が眠る土砂を保全した上で、県に対する遺骨収集事業の委託費を増額し、日々風化が進む遺骨の収集を早める手立てをとる」と回答した。
れいわは「工事自体が困難な新基地建設を進めるよりも、政府が主体となって遺骨収集事業を加速させることが重要であると考える」と回答した。