〈78〉舌がん・口腔がん 長引く口内炎に注意!


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 口腔(こうこう)がんについて聞いたことはございますでしょうか? 口の中にも体の他の場所と同じくがんはでき、舌がんはその中でも代表的な疾患です。

 症状としては、食事がしみる、口の中のできものがなかなか治らないなどです。初期には舌や口の中の粘膜の変化(色が白く変化したり、赤みが強くなる)が表れることもあるのですが、これらは口腔がんだけに特徴的な症状ではないため、がんかどうかを自分自身で見極めるのはなかなか難しいものです。ただの口内炎だと思っていたら実はがんだった、という患者さんも決して珍しくありません。

 治療は手術が中心となりますが、抗がん剤や放射線治療が検討されることもあります。がんが小さいうちなら比較的小さな切除ですみます。しかし、がんが大きく広がっていると切除する範囲も大きくなってしまいます。

 治療により後遺症が残る場合もあります。早期であればあまり後遺症を心配することはありません。切除する範囲が大きくなれば、切除したところを補うために、患者さん自身の太ももや腹部、腕などから採取した皮膚や筋肉などの組織を移植します。ただし、会話や、ものを食べたり、飲み込んだりといった嚥下(えんげ)機能に影響がでてきます。このような口腔の各種機能の低下が見られる場合には、それらの機能を回復させるためのリハビリテーションを行います。

 原因として、口腔がんに限らず、のどや食道のがんは、喫煙、飲酒、偏食によって発生します。口腔がんはこれに加えて歯の不衛生が関係しています。できるだけご自分の歯を健康に保つためには歯科での定期清掃、治療が必要です。口腔がんは耳鼻咽喉科で治療することが多いですが、早期に見つけていただくのは歯科の先生のことも多いです。おかしいなと思ったらかかりつけの歯科の先生または耳鼻科・頭頸部外科を受診してください。

(平川仁、琉大医学部付属病院 耳鼻科・頭頸部外科)