【記者解説】米軍また無責任姿勢…証拠示さず関与否定 金武の水道水PFAS


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 沖縄県金武町の水道水源から高濃度の有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が検出されている問題を巡り、米軍が関与を否定したのは環境汚染に対して無責任な姿勢の表れだ。明確な証拠を示さないで基地由来の汚染を否定するのは今回に限ったことではない。

 普天間飛行場で保管していたPFAS汚染水を一方的に放出した際も、暫定指針値の13・4倍に上るPFASが検出されたが、米軍は「汚染源は基地内で特定できなかった」と主張した。

 金武町は排水路の調査で他の汚染の可能性が入る余地を狭めるよう、基地のフェンスのすぐそばで流れ出た水を採取した。基地からの汚染の可能性が高いと判断している。

 一方、米軍は調査地点や内容、PFASの数値など詳細を伏せたまま、関与を否定している。

 汚染の実態解明が急務だが、基地への立ち入り調査や資料開示などには米側の同意が前提となっている。一方、町や県は高い数値を把握していたにも関わらず早期に公表しなかったことで、実態解明を遠のかせる一因をつくった。

 米軍は嘉手納基地や普天間飛行場で蓄積されているPFAS汚染と同様に責任を回避しようとする懸念もある。政府や県、町は毅然(きぜん)と米軍の責任を追及する必要がある。

 (明真南斗)