ウチナーンチュの日は「世界中で豚肉を食べよう」 WUBが提案、ロゴでPR


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「豚肉(PORK)は琉球王国の平和の象徴(Peace of Ryukyu Kingdom)だ」と語る佐久田トニー副会長=25日、宜野湾市

養豚、飲食業の発展へ

 10月30日は「世界のウチナーンチュの日」。県民と、世界各地の県系人とが心を一つにして祝祭の機運を高めようと、世界ウチナーンチュ・ビジネス・ネットワーク(WUB)が、30日から11月6日を「世界のウチナーンチュウイーク(感謝祭)」と位置付ける提案をしている。立案者の一人で、WUBアジア担当の佐久田トニー副会長(59)は「米国の感謝祭で家族が集い七面鳥を食べるように、ウチナーンチュの日は世界中で豚肉を囲む日にしよう」と呼び掛けている。

「世界のウチナーンチュウイーク」のロゴ

あすからウイーク

 豚肉は沖縄食文化の象徴だが、その背景には県系人の“ゆいまーる精神”が深く関わっている。

 沖縄戦後、焦土と化した沖縄を救おうと、世界各国に渡った移民や県系人があらゆる面で手を差し伸べた。支援の一つが、ハワイの県系人による豚550頭の贈り物だった。沖縄の人々はこの豚を繁殖して、戦後の食糧難を乗り越えた歴史がある。

 米国の感謝祭(11月の第4木曜)も、米国に移住した開拓者たちが飢餓に直面した際、先住民が分け与えた知恵で食糧難を乗り越えたことに感謝し、七面鳥でともにお祝いしたという由来を持つ。

 佐久田副会長は「沖縄の歴史が重なる」と指摘し、「県人と県系人の絆を語り継ぐ上で重要な役割を果たし、世界中で手に入る食材でもあることから豚肉がふさわしい」と、ウチナーンチュの日にちなんで感謝祭を発案したきっかけを振り返る。

 感謝祭に豚肉を食べる習慣を根付かせることで、県内の養豚業や飲食業の発展にもつなげたい考えだ。

 取り組みは県系人の多いブラジルやハワイなどで徐々に広がりを見せており、県内でも那覇市の「国際ステーキ」や、ポークたまごおにぎりを販売する「ポーたま」などがウチナーンチュウイーク期間中は店頭にイベントロゴを掲示し、豚肉料理をPRする。

 WUBは今後、県内の流通業者や加工品メーカーなども巻き込みながら活動の輪を広げていく方針だ。

 佐久田副会長は2016年に「世界のウチナーンチュの日」が制定されて以降、県系人の間ではこの日を祝う風潮ができつつある一方で、県内での浸透が弱いと感じている。「料理を囲みながら、家族や友人と沖縄のルーツ、過去や未来について思いを巡らせる機会にしてほしい」と語り、「豚肉(PORK)は琉球王国の平和の象徴(Peace of Ryukyu Kingdom)だ」と力を込めた。

 WUBでは取り組みに賛同する飲食店に対し、ウチナーンチュウイークのロゴの使用を認めている。こちらからダウンロードできる。

 (当銘千絵)