ホテル「かりゆしアーバン」が閉館 開発頓挫や防災不備で判断


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ホテルの撤退理由や今後の展望について説明する平良朝敬会長(右)=1日、那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ

 県内ホテル大手のかりゆしグループの平良朝敬会長は1日、那覇市前島の複合ビル「とまりん」内で運営するホテル「沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ」で会見し、10月31日付で同ホテルを閉館したと発表した。

 とまりんからの撤退理由について賃料の高騰に加え、泊ふ頭一帯の開発事業が頓挫したため、長年にわたりホテルの運営計画に影響が出ていたことや、入居施設の防災機能に危険性があったと説明した。

 泊ふ頭を巡っては、1986年度に国が創設した官民連携型の港湾開発構想「ポートルネッサンス21」に基づき、ふ頭一帯の開発事業が計画されていた。だが、財源繰りなどを理由に計画は停滞し、「海の博物館」など観光施設の建設計画が相次いで中止となったほか、とまりん内の入居施設の大半が集客が見込める物販店舗ではなく貸オフィスとなっていた。

 平良会長は「計画の趣旨に賛同し入居を決めたがどれも実現せず、経営は当初から極めて厳しい状況だった」と説明。95年の開業以来、社の自助努力でホテルの稼働率80%の水準を維持してきたと訴えた。

 また、施設の防災設備システムが港の岸壁から数十メートルに位置し、司令塔である防災管理センターが地下階にあることも問題視。「危機管理態勢に重大な懸念がある。今後入居するテナントのためにも早急に改善してほしい」と訴えた。

 全従業員146人のうち46人をグループ内の別施設で継続雇用するほか、退社する100人へは再就職先の支援をするという。

 とまりんを経営する第三セクター、泊ふ頭開発の玉城義彦常務は「防災機能については建物の構造的に問題はなく、法的にも触れたことがない。いずれにしても撤退は非常に残念だ」と述べた。

 同社は新しいテナント候補として現在、県内外の4社と調整している。