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ウォール・ストリート・ジャーナル厳選記事

使用済みペットボトル、ごみから注目商品に【WSJ厳選記事】


HEARD ON THE STREET

今年になって再生PET価格が急上昇



By Carol Ryan
2021 年 11 月 10 日 11:17 JSTプレビュー



――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 使用済みペットボトルは世界の海を汚す漂流ごみという認識が一般的だが、驚くべきことに供給不足が起きている。消費者ブランドがリサイクル目標達成のために競い合っているからだ。

 S&Pグローバル・プラッツのデータによると、ペットボトルの廃材から作られる再生PETフレークのスポット価格は、欧州では年初来約2倍に上昇している。包装材に関する環境規制が緩い米国でも価格が上昇しているが、欧州ほどではない。全米PET容器資源協会(NAPCOR)によると、食品用の再生PETの価格は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の1ポンド当たり約64セントから1ドルに上昇した。

 高騰の背景には、有名ブランドが石油消費量の多い非再生プラスチックの使用量を削減する自主目標を設定したことによる、再生プラ需要の急増がある。世界最大の食品会社ネスレは、2025年までに非再生プラの使用量を3分の1削減したい考えだ。米飲料大手コカ・コーラは、2030年までにリサイクル素材の使用率を50%以上にすることを目指している。

 これらの企業は、他の産業との厳しい資源獲得競争を強いられている。ペットボトルは長年、カーペットや持ち帰り用食品容器などにリサイクルされてきた。現在では、衣料ブランドもペットボトルを狙っている。ファッション業界ではまだ、ポリエステルなどのプラスチック素材でできた衣料をリサイクルして新しい服を大量生産する方法が確立していないため、新しいサステナブルな服を作るには、清涼飲料水メーカーが出すペットボトルの廃棄物を利用せざるを得ない。

 環境規則の厳格化で、供給不足はさらに深刻になるとみられる。2025年までに、欧州連合(EU)域内の企業は飲料用ペットボトルの再生原料使用率を25%以上にすることが義務付けられ、他の種類の包装材についても最低使用率が発表される予定だ。KPMGによると、欧州ではリサイクル素材を使用した包装材は5%程度にとどまっている。

 米国ではカリフォルニア州とワシントン州で、一部のプラスチック包装材の再生素材含有率を定めた法律が成立した。NAPCORによると、再生PETの価格は、およそ1年半前に非再生PET価格を上回り、需要急増に伴って現在は20%割高になっている。

 米消費者ブランドは、目標達成が特に困難になる可能性がある。米国では、プラごみを回収するのに必要なインフラ整備が進んでおらず、ペットボトルのリサイクル率は平均で30%程度だ。インディペンデント・コモディティー・インテリジェンス・サービシズ(ICIS)の推定によると、欧州では64%となっている。リサイクル率を改善するには、家庭からの回収やリサイクル施設に大規模な投資が必要だ。

 大手プラスチックメーカーは価格上昇の恩恵を受けるかもしれないが、将来的には非再生素材の需要減退を補うためにリサイクル製品も販売する必要がある。PET製造世界最大手のインドラマ・ベンチャーズは、2025年までに年間500億本のペットボトルをリサイクルする計画だ。タイ・バンコクに本社を置く同社の株価は、この1年で70%上昇している。

 供給の少ない再生プラを巡り、高くつく戦いが迫りつつある。この戦いに引き込まれる大企業の狙いは、何よりも炭素排出量を削減することだが、海がきれいになるという環境的なメリットのおまけ付きかもしれない。




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